いま、この時代に出会う – イオWeb

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時評エッセイ。ジャーナリストの中村一成さんが、在日コリアンやマイノリティをめぐる日本社会での出来事を、人々との出会いから紡ぎます。

なかむら・いるそん●1969年、大阪府生まれ。立命館大学卒業。1995年毎日新聞社に入社。現在フリー。著書に「声を刻む 在日無年金訴訟をめぐる人々」(インパクト出版会)、「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」(岩波書店)、「ルポ思想としての朝鮮籍」(岩波書店)、「映画でみる移民/難民/レイシズム」(影書房)などがある。『ヒューマンライツ』(部落解放・人権研究所)の「映画を通して考える『もう一つの世界』」を連載中。

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vol.25 最終回 「人間であること」を証明する番

イスラエルによるジェノサイドが続く。日本を含むグローバルノース(GN)のメディアでは今も、ハマースによる2023年10月7日の「奇襲」を出来事の起点かの如く語るが、歴史も自国の責任をも無視した曲論だ。これは「ユダヤ至上主義国家」を創ったシオ...

vol.24 「さべつはゆるしません」 ネットヘイト訴訟、完全勝訴

崔江以子さんと息子の中根寧生さん、師岡康子弁護士が裁判所から出てくると、門前に待機していた支援者から拍手が沸き上がり、「おめでとう」の声が飛び交った。攻撃が始まってから7年、裁判に踏み切ってから3年、やっと得た区切りだ。中根さんが勝訴を報告...

vol.23 「差別と闘う権利」を拓く 石橋学記者、控訴審で完全勝訴

本気の一人がいれば闘える。状況は変えられる。神奈川新聞記者、石橋学さんの法廷闘争を取材する中で、その確信がまた深まった。 講演会での差別発言を「悪意に満ちたデマによる敵視と誹謗中傷」と報じられたことなどで名誉を毀損されたとして、元川崎市議選...

vol.22 「時の務め」に向き合う 虐殺から100年

関東大震災後の朝鮮人虐殺は、歴史改竄とレイシズムとの闘いの最前線だ。国や東京都は事実すら認めず、社会に蠢くレイシストをエンパワーする。歴史否認者らは今年9月1日、横網町公園の追悼碑前で集会を申請、それを都が許可するに至った。100年の節目に...

vol.21 卑怯者たち

高いフェンスに護られた無機質な建物に向かい、子どもたちが、壁の向こうに声を届けようと、力の限りに飛び上がりながら手を叩き、叫んでいた。「オッ、オッ、オッ、オー、ウーカンオノー」「ニュカンオノー」「ニューカンホーノー」……。言葉として聴き取れ...

vol.20 闘争と文学と、宗教と 高史明さんを悼む

  「死刑は『問い』を殺すのです」。高史明さんの言葉だ。在日朝鮮人二世の作家で親鸞の「弟子」、その彼が7月15日、91歳で死去した。1975年7月に自死した愛息、真史さん、そして昨年9月、旅立った妻、岡百合子さんを追っての穏やかな...

vol.19 未来を拓くハンメの言葉 『アリランラプソディ』京都で先行上映

  文字を獲得すること、そして、書き、表現するとは人にとっていかなることだろう。人間存在の根幹に関わるこの問いに人を誘うドキュメンタリーが完成した。川崎市桜本地区に暮らすハンメたちの日常を20年以上にわたって記録した、金聖雄監督『...

vol.18 前へ、前へ、ともに 「共生の未来」を諦めない

川崎市桜本の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」の館長、崔江以子さんが、ネット上で自らを攻撃し続けて来たレイシストに対して起こした民事訴訟で、5月18日、本人尋問があった。刑事訴訟と違い、被害者が加害者側と対峙する民事訴訟で、この日はまさに最...

vol.17 合わさっていけば本流さ 大阪コリアタウンに「共生」発信の拠点

「共生」。私たちの文化だ。その「共生」という私たちの文化を発信する新たな拠点が、大阪市の旧猪飼野に誕生した。「大阪コリアタウン歴史資料館」である。4月29日、開館式典が催された。民族教育への攻撃を止められないまま迎えた七五回目の「4・24」...

vol.16 「分かって欲しい…」 人倫の底を抜いた「徴用工合意」

この国はまたしても人倫の底を抜いた。徴用工問題について、岸田自公政権が韓国政権と交わした「合意」のことだ。韓国大法院判決で勝訴した3訴訟の生存原告全員が拒否を表明した破廉恥な談合は、1965年協定、「慰安婦」合意の繰り返し。更なる罪の上塗り...

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