【イオニュース PICK UP】長生炭鉱水没事故めぐり、超党派議員ら国へ要請
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“局面は変わった” 遺骨収容へ政府が参画を
この日、国会内で行われた要請には、福島みずほ、ラサール石井(いずれも社民党)、小池晃(共産党)の各国会議員が参加。3名のほかに、平岡秀夫、杉尾秀哉、有田芳生、石垣のりこ、篠田奈保子、山添拓、大石あきこ、上村英明、新垣邦男議員らも要請書に名を連ねた。
今年4月7日の決算委員会質疑の場で、石破茂首相は、長生炭鉱跡への現地訪問などを求めた大椿ゆうこ前参議院議員に対し、「必要があれば現場に赴くということも私は選択肢としてあるのだと思っております」「危ないですからねと、自己責任ですよというようなわけにはまいりません」などと答弁。しかしその後、政府の目立った動きは確認できていない。
また「安全性を確保した潜水調査の実施可能性を探る」として、厚労省が実施中の専門家からの知見収集も7月を最後に行われておらず、遺骨収容について極めて否定的な態度で一貫している。
福島議員は、政府のこうした対応を前にして、政治決断を迫るために超党派の国会議員で要請書を出すに至ったと説明した。
要請書は、▼石破首相と福岡厚労相の現地訪問、▼遺骨収集への政府参画の2点を求めたうえで、政府として長生炭鉱水没事故に資金的、技術的に関与するよう求めた。
要請書が厚労省の岡本利久・大臣官房審議官へ手渡された後、非公開で約45分間の協議が行われた。
その後、記者ブリーフィングが開かれた。
議員らの説明によると、協議の場では「遺骨が発見されたことで局面が変わったと思うがいかがか」という議員側の質問に対し、厚労省側からそれに同意するような言葉はなかったという。また遺骨発見への感想を問われた審議官らは「ああ、出てきたんだなと思いました」と返答した一方で、これまでと同様に「安全性が確保できていない状況で政府参画を明言できる状況ではない」との返答があったという。
他方で微々たる進展もあった。これまでの交渉は人道調査室室長などとの間で行われてきたが、この日初めて厚生労働審議官が参加。また政府側は、現地で潜水調査を行っているダイバーの伊左治佳孝さんへのヒアリングの場を設けたうえで、今後の方針を決めるうえでの前提となる検討会を開くことを認めた。
福島議員は「検討会をすると認めたのは一つ前進だ。これを機に政府を説得していきたい」と話した。
9月9日には遺骨収容など長生炭鉱水没事故の真相究明を進める地元の市民団体「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」と厚労省、外務省担当者など政府との間で、8月の遺骨収容後初となる交渉の場が持たれる予定だ。
文・写真:韓賢珠