地元に根を張り、縁を紡ぐ/和牛やきにく園楽(岡山県津山市)
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岡山県北部、歴史の記憶が点在する津山市。丘陵地の公園には、2003年に津山市と総聯美作支部が朝・日友好の証として植えたメタセコイアが立ち、住宅街には、豊臣秀吉の朝鮮侵略で持ち帰られた朝鮮人の耳を供養する「耳地蔵」を再建した遺構も残る。一方で、古くから、と畜場があり “肉の聖地”とも言われるこの地で1974年に創業したのが、和牛やきにく園楽だ。地元客から遠方の客までリピーターを生む味で親しまれている。
約15年前から津山で唯一、同店だけが扱っているという千屋牛は、和牛のルーツとされる「竹の谷蔓」の血統を受け継ぐブランド牛。ほどよい霜降りと赤身を、味噌入りの秘伝ダレで味わえば旨味がグッと引き立つ。同店のメニューには、そずり鍋や煮こごり、干し肉、ホルモンうどんなど津山名物もずらり。「気づいたら増えていた」と笑うのは、店主で岡山県商工会の会長も務める金泰栄さん(62)だ。
網焼きが主流のいまも、同店が鉄板ロースターにこだわるのは、幼い頃に体験した先代の味に確信を持つから。自身が10代の頃に両親が始めた店は、母親が中心となって切り盛りしていた。21歳で店を継ぎ、約1年かけて経営を立て直したという金さん。「あの頃は家業に入るのが当たり前だったから、自然と継いだね」。今年で52年目を迎える屋号「園楽」には、「皆が楽しく集まれる場所をつくりたい」との先代の願いが込められた。
現在は市内で複数の飲食店を経営するほか、昨年新たに精肉や韓国食品を扱う「SHOP園楽」を併設した。「因果応報、継続は力なりというがアンテナを張って努力を積み重ねれば結果はついてくる」と金さんは静かに語る。
高校までは日本学校に通いながら、同胞の集まりにも足を運び、姜泰龍さん(県商工会副会長)など朝鮮大学校進学を機に出会った同世代の仲間と朝青支部も作った。また「商売の肝は対人。お店を始めるのも、育てるのも人との出会い」という彼の言葉からもわかるように、この間に築いた人脈は、現在の経営や地域活動の土台になっている。
そんな金さんには揺るがぬ信念がある。「一族で代々受け継がれてきた同胞のお店は大小問わず、その家の歴史を感じる味がする。園楽もそんな家の味を守り続けたい」―。地元に根を張り、数々の縁を紡いできた園楽。津山を訪れたなら、まず足を運びたい一軒だ。

上質な千屋牛は絶品だ

津山を代表する郷土料理・そずり鍋

園楽では地元の名物(左から干し肉、コゴロ、ヨメナカセ)も食べられる

酒のつまみにピッタリな肉ぬた

温かい雰囲気の漂う店内

(右から)店主の金泰栄さん、金さんの母・申春子さん、妻の張依里さん
和牛やきにく園楽

〒708-0074 岡山県津山市福渡町65ー1
Tel:0868-23-7721
営業時間:11:30~22:00
※日・祝日は~21:00
定休日:第3火曜日
駐車場30台
メニュー
特選上ロース 1750円、オオカク(ハラミ)1080円、カルビ880円、ヨメナカセ(コリコリ)630円、レバー680円、特選和牛しゃぶしゃぶ焼き・上ロース1780円、大山どり680円、肉ぬた980円、津山コゴロ(牛煮こごり)530円、千屋牛そずり鍋2750円(うどん付) ※すべて税込







