【イオニュース PICK UP】「102年前と今、あまりにも似ている」/関東大震災朝鮮人虐殺102年、東京・横網町公園で犠牲者追悼行事
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関東大震災の発生から102年を迎えた9月1日、震災直後に日本の軍隊と警察、自警団などによって虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する集いが東京都墨田区の都立横網町公園内の朝鮮人犠牲者追悼碑前で執り行われた。
この日13時半から総聯東京都本部、東京朝鮮人強制連行真相調査団の共催で行われた「関東大震災朝鮮人虐殺102年 東京同胞追悼会」には、総聯中央の南昇祐副議長、総聯東京都本部の高徳羽委員長をはじめとする活動家、同胞、日本市民など約300人が参列した。
追悼会では、はじめに参列者全員で同胞犠牲者たちに黙とうをささげた。
続いて、高徳羽・総聯東京都本部委員長と西澤清・東京朝鮮人強制連行真相調査団代表が主催団体を代表してそれぞれ追悼の辞をのべた。
高徳羽委員長は、震災発生から10日あまりの期間に6600人あまりの人々が虐殺されたことは国際法が禁じる集団虐殺(ジェノサイド)であると指摘。虐殺の直接的なきっかけは「朝鮮人暴動」など当局発信の流言飛語であること、その根源には朝鮮民族に対する排他思想があり、虐殺は「植民地政策に反対する朝鮮人のたたかいに為政者らが恐れを抱いて犯した人類史上最悪の犯罪である」と非難した。
高委員長は、小池都知事が今年も主催側が求めた追悼文の送付や真相究明を拒否した点に触れ、「都当局のこのような態度は、犠牲者たちを冒涜し、虐殺の歴史的事実を隠ぺい、歪曲するものだ」と非難した。また、日本政府も謝罪と補償から目を背けているとし、政府および都のこのような態度は排外主義をあおる勢力を後押ししているとのべた。
そのうえで、「102年前の朝鮮人虐殺と、現在の日本政府および東京都の在日朝鮮人に対する差別、7月の参院議員選挙の過程であらわになった外国人排斥をあおる事態があまりにも類似していることは偶然ではない」と指摘。東京都や日本政府の歴史修正主義的な姿勢と日本社会の風潮に対して深刻な憂慮を表明するとともに、虐殺の真相究明と犠牲者への謝罪・賠償を強く求めた。
続いて、朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮人強制連行被害者・遺族協会から送られてきた追悼文を、姜明秀・総聯東京都本部副委員長が読み上げた。
続いて、「東大震災朝鮮人虐殺を検証する有志議員の会」世話人代表である平岡秀夫衆院議員(立憲民主党)と日朝友好促進東京議員連絡会協働副代表である佐藤佳一新宿区議会議員(日本共産党)が来賓あいさつを行った。本式典には、ラサール石井参院議員(社民党)、大松あきら都議会議員(公明党)も来賓として参列した。
最後に献花が行われた。多くの参列者が追悼碑の前で手を合わせ、花を手向けた。
「虐殺知らぬ存ぜぬを繰り返す状況を憂う」
午前11時からは日朝協会東京都連合会などが主催する追悼式典が行われた。
式典では、宮川泰彦実行委員長(日朝協会東京都連合会会長)が開会のことばをのべた後、読経に続いて各団体の代表が追悼の辞をのべた。
また、歌手の加藤登紀子さん、劇作家・演出家・俳優のシライケイタさん、小説家の深沢潮さんが追悼メッセージを寄せた。
式典では「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑を守り、語り継ぐ会」のメンバーが白いチマチョゴリを着て犠牲者を追悼する「クンジョル」を行った。
総聯東京都本部の康景翊国際部長は追悼の辞で次のようにのべた。
関東大震災虐殺事件から一世紀を経てもなお、日本政府が、東京都が、加害者が、虐殺事件に対して知らぬ存ぜぬを陳腐に繰り返し、さらには無かったことにしようとしている現在の恐ろしく奇怪な状況を憂えざるをえません。
国や自治体が忌まわしい歴史の汚点を否定し、隠し教えず、日本社会全般に歴史修正主義や排外主義を蔓延させ、ヘイトクライムを増殖させている現状をたいへん危惧しております。
…
ファシズムの典型である日本軍国主義の罪の歴史が残した教訓のひとつは、「朝鮮人の次なるターゲットはあなただ」ということであります。
朝鮮や中国、外国は敵だと叫んだその口が、平和的な国民にむけて「売国奴」、「非国民」、「アカ」とさげすみ弾圧した暗い過去を忘れてはならないと思います。
…
今日私たちがここに集ったのは、犠牲者を追悼するとともに、歴史の真実を正しく記憶し、そこから得た教訓を生かし、過ちを再び繰り返さないようにするためだと考えます。
私たちは、外国人排斥やヘイトなど平和共存に逆行しようとする昨今のあやうい企てに打ち勝ち、真の「未来志向」で友好と親善、共生する新しい時代を切り拓いていかねばなりません。
関東大震災朝鮮人虐殺事件の真相究明と清算は、その第一歩になると、ならねばならないと強く思います。
追悼式典は、追悼碑建立(1973年)の翌年から毎年行われている。歴代の都知事は2016年まで毎年、追悼文を寄せていたが、小池百合子都知事は17年から追悼文を送っていない。都知事の追悼文送付取りやめは今年で9年連続となる。
一方、例年、追悼行事開催と同時刻に排外主義団体「日本女性の会 そよ風」が「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」という名目で朝鮮人虐殺の歴史を否定し差別を扇動する集会を朝鮮人犠牲者追悼碑の裏手で開いてきたが、今年は行われなかった(3日に横網町公園慰霊堂で「真実の関東大震災犠牲者慰霊祭を開催)。
文・写真:李相英