【特集】「超値上げ時代」を生き抜く!
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新型コロナウイルス・パンデミックやウクライナ戦争など、世界は目まぐるしく変化し、日本では円安と物価高騰が進み、暮らしを圧迫しています。特集では、私たちを取り巻く状況を「超値上げ時代」と規定し、経済学者の論考を通じて、この間の経済動向と今後の展望を示します。また、厳しい経済状況の中でもさまざまな知恵や創意工夫、バイタリティをもって苦境を打開する同胞たちの姿、暮らしに役立つ大小の家計防衛術もまとめました。
混沌とした世界で舵を切る ~経済学者からの直言
康明逸 ●朝鮮大学校准教授
世界的なインフレの勃発
コロナ前の世界経済は、物価変動の少ない中で適度な長期経済成長が続いてきたと言われてきました(ゴルティロックス経済)。しかしながら、コロナやウクライナ戦争などの外的要因によるエネルギー・原材料価格の高騰と(コストプッシュ要因)、コロナによる生産停滞および行動制限緩和による需要急増が需給ギャップを引き起こし(デマンドプル要因)、複合的な物価上昇を世界中で引き起こしています。
もともと日本は物価が上がりにくい国だと言われてきました。消費者需要が価格変化に敏感なこと、賃金上昇が起こりにくく生産コストを低く抑えられることなどが、その理由として挙げられています。しかしここ数年の世界的なインフレは、日本でも数十年ぶりとなる顕著な物価上昇を引き起こしています。
2022年8月時点で、日本の消費者物価指数(CPI)は前年比2.8%上昇しました。同時期の他国ほど(米国・8.3%、EU・9.1%、フィリピン・4.9%など)ではないにしろ、日本の物価がついに上がり始めたのです。日本の場合、上で述べた複合的要因とともに、円安による輸入品価格高騰も物価上昇の引き金となっています。
ルポ30代、40代どうしてる?
コロナ渦、不況と続く経済状況の中で働き盛りの同胞たちはどのように働いているのか。さまざまな知恵や創意工夫、バイタリティを持って苦境を乗り越える30代、40代のトンポに迫った。
●自営業
経験と人脈を生かして
洸永商事代表 金永喜さん
金永喜さん(42、埼玉県さいたま市在住)は今年1月に晴れて独立。30歳から解体業に従事した経験を生かして株式会社洸永商事を設立した。
32歳の時に「40歳の節目で自分の力で仕事をしたい」という思いが起業に繋がったと話す。妻も自分の会社設立に理解を示してくれて、背中を押してくれたという。
金さんの会社では家屋やマンション、工場、パチンコ店などを解体する作業を主に請け負っている。
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足でかせぐマーケティング
姉妹商会 代表 金俊樹さん
姉妹(ルビ:チャメ)商会のキムチは一度口にしたら、やみつきになるコクと旨味が魅力だ。群馬県に拠点を置き、県内外からのリピーターも多い姉妹商会の代表を務めるのは金俊樹さん(37、群馬県青商会会員)だ。
金さんの祖母で1世の呉慶南さんが娘姉妹(金さんの母、伯母)と20年ほど前に安中市で製造販売を始めた姉妹商会は、呉さんが高齢で携われなくなってからは細々と店を続けるしかない状況に陥っていた。幼い頃から実家のキムチが大好きだった金さん。「この味をこのままなくしたくない」という思いから2018年に家業を継いだ。
時は新型コロナウイルスが流行り始めた頃。金さんは大手食品通販サイトのOisix(オイシックス)に直談判し、販売までこぎつけるなど精力的に販路を広げていった。さらに、ヤフーショッピングや、当時まだ誰も始めていなかったというメルカリでの販売にも取り組んだ。
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●産後復帰
″生きがたさ〟を越えて
昨今、「働き方改革」によって30代以降の女性の労働力率が日本全体として向上している一方、同胞女性の半数近くが、結婚・出産などにより労働市場からの退出を余儀なくされている。そのような中、産後復帰を果たした同胞女性たちはどのような形で働いているのだろうか。
李紀和さん(36)は東春朝鮮初級学校(愛知県春日井市)初級部1年の息子と幼稚班の年少の娘を育てながら、同校の教育会で働いている。
同校をはじめ愛知県内の朝鮮学校で8年間教壇に立ち、妊娠、出産を機に教員を辞めた。2人の子どもの産休と育休を経て、昨年、長女の朝鮮幼稚園入園を機に5年ぶりに仕事に復帰。今年1月には保育士の資格を取得し、現在は週に4日、9時半から15時半まで学校の教育会で事務仕事をしながら、月に2回、幼稚班で預かり保育の実施日や園庭開放日にサポートに入っている。
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●新しい働き方
新型コロナウイルスの世界的流行は、産業界の仕組みや人々の働き方を大きく変えた。時代が大きく変わる今、30、40代の同胞たちは、どんな分野でどんな働き方をしているのだろうか―。
再生エネルギー分野で 千裕樹さん(41)
再生エネルギーの分野で着実にキャリアを積んでいるのは、株式会社Looop再エネ本部O&M部長兼務電力本部事業推進部部長代理を務める千裕樹さん(41、兵庫県在住)だ。
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情報技術で独立 李春秀さん(37)
情報技術社会にコロナ禍が相まって、ウェブサービスの需要増には拍車がかかる。
京都府在住の李春秀さん(37)は、ウェブシステムの会社に7年勤めたのち、今年3月に独立した。
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大分の町おこしも 金夕貴さん(38)
金夕貴さん(38、大分県在住)はNTTコミュニケーションズという大手企業に勤めながら、今年7月、副業として株式会社Wells beを立ち上げた。
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心と体、コロナで見つめ 宋亜弓さん(37)
愛知県を中心に、韓方茶の販売を手がけ、ピラティスインストラクターとしても活動する宋亜弓さん(37)。結婚を機にピラティスの資格を取得、自身のルーツがある朝鮮半島のお茶(韓方茶)セラピストとしても活動している。
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専門家に聞く!
自営業者は、値上げ時代にどう対応し、会社経営を進めるべきか―。物価高に加え、労働賃金は上がらない、社会保険料は増えた…と不安を抱える家庭は、何をどう始めたらいいのか―。同胞専門家にアドバイスをいただきました。
中小企業、自社の強みを生かして 康至宏 ●中小企業診断士
家計の設計、何から始める? 呉静香 ●コンサルタント
知っておきたい 役立つ社会保障制度まとめ
- 教育訓練給付制度
- 出産育児給付
- 低所得者支援
- 高額療養費制度
など
教えます!私の節約術、増やし術
- アプリを活用し賢く節約
- 投資はじめてみました!
- 徹底してポイ活!
- 大容量冷凍庫を購入
など
全文は11月号に掲載されています。
ぜひ手にとってみてください。
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