【イオ ニュース PICK UP】歴史に由来した朝鮮学校、“公的助成はあたりまえ”/「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」2022年度総会
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「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」(以下、連絡会)の2022年度総会が2月20日、文京区民センター(東京都文京区)で行われた。総会はオンラインでも中継され、会場、オンライン合わせ約100人が参加した。
総会第1部では、連絡会の長谷川和男・共同代表が「朝鮮学校差別に反対する運動のこれまでとこれから」をテーマに、12年間の運動を総括し、これからの運動についての提案を行った。
報告では、朝鮮学校を高校無償化制度の対象から除外しようとする民主党政権の動きがあった2010年3月から自民・公明連立政権への交代を経た14年4月までを第1期とし、1000人を動員した代々木公園での「緊急行動」(10年3月)を皮切りに行われてきた各種集会やデモ、署名活動、政府への要請活動と記者会見、右翼や排外主義団体の妨害行為に反対する他団体、韓国市民運動との連帯、国連人権勧告の実現のための取り組み、朝鮮学校への補助金を停止したことへの抗議活動などの取り組みが報告された。
つづいて、東京朝鮮中高級学校の生徒62人が原告となり、日本政府を相手取って国家賠償請求訴訟を起こした14年4月から20年2月までを第2期とし、裁判費用のカンパ集めや口頭弁論の傍聴、学習会の開催、不当裁判に抗議する集会や文部科学省前の「金曜行動」への参加、長谷川和男代表による朝鮮学校「全国行脚」、朝鮮幼稚園の幼保無償化除外への抗議集会や署名活動などを取りあげた。
第3期(20年2月~現在)は、コロナ禍の中で「地域から世論を変える」という方針のもと、東京朝鮮第6初級学校を支援する「だいろく友の会」(大田区)、「東京朝鮮第4幼初中級学校を支援する会」(足立区)が発足し、地域に根差した活動を展開してきたことが報告された。
報告で長谷川共同代表は、「問題に決着がつかないまま、自分たちの力を十分に発揮できなかったと総括をせざるを得ない」としながら、過去の歴史に由来する朝鮮学校に日本社会が公的助成を行うのは当たり前だと強調した。
これからの活動方針については、高校無償化、幼保無償化、「学生支援緊急給付金」から朝鮮学校が排除されているという差別を是正するための世論喚起、政府や国会議員への働きかけ、国際連帯など多方面での取り組み、各地域で諸団体間の交流の促進、地方自治体、地方議会・議員への働きかけなどを継続しながら、「勝手に金曜行動」の発展を図り、運動を可視化し、結節点をつくること、インターネットを用いてコロナ禍でも可能な活動方法を追求していくことが発表された。
第二部では、地域での取り組みを学ぶというテーマのもと、各地からの活動報告が行われた。
「だいろく友の会」(2020年結成)の洪愛舜さんは、公開授業活動から始まり、学校創立75周年の記念式典や卒業生たちへの同会から記念品の伝達、学校保護者との意見交換会、絵本の贈呈などの活動をあげながら、「保護者の立場から、応援してくれる人がいるということが子どもたちにとっても力になっていることを実感している」こと、また自身の子ども時代の経験から、「支援を続けてくれた人とのかかわりが人格形成にもいい影響を与えている」ことなどを語り、これからも活動を盛りあげていくことを呼びかけた。
他にも、「東京朝鮮第4幼初中級学校を支援する会」事務局長の鴻巣美知子さん、「全ての学校に高校授業料無償化を!練馬の会」の林明雄さん、「立川町田朝鮮学校支援ネットワーク・ウリの会」共同代表の猪俣京子さん、「チマチョゴリ友の会」代表の松野哲二さんが報告を行ったほか、モンダンヨンピルをはじめとする韓国の団体からのメッセージも紹介された。
(文・写真:朴明蘭)