【インタビュー】日司連の法教育ハンドブック巡り、司法書士有志が調停申し立て
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朝鮮学校はデリケートなトピック?/司法書士 小牧美江さん、福本和可さん
まとめ、写真:韓賢珠

左から福本和可さん、小牧美江さん
―問題の発端は?
小牧:2015年、さまざまな法教育の経験を、司法書士たちに共有するための媒体として『司法書士のための法教育・消費者市民教育ハンドブック』が刊行されました。私が関わる司法書士法教育ネットワーク(法教育ネット)に委託され、日司連から発行されたこの刊行物は、選挙権年齢(改正公職選挙法施行、2016年6月)や、成年年齢(改正民法施行、22年4月)の引き下げなど社会状況の変化に対応した続編の必要性が求められ、日司連からの編著全般の委託という形で、法教育ネットによる「追補版」が作られることになりました。
22 年夏頃から編集作業を開始し、同年末に校正済みの第一次原稿を日司連に提出したのですが、23年2月1日、突如大幅な削除指示が入った原稿データが送られてきたのです。当該指示は、朝鮮学校での法律教室という実践報告について丸ごと削除するというもので、日司連に削除理由を尋ねると、以下のようなコメント入りのワードデータが送られてきました。
「朝鮮学校については様々な考え方のあるデリケートなトピックであるところ、他団体での事業とはいえ、日司連の発行物に記載すること自体が相応しくないとの判断です」
―その後、どのように対応したのですか?
小牧:法教育ネットでは、編集権限が法教育ネットにあること、日司連の行為は、著作者人格権の侵害であり、外国人差別であるとして、それに加担することはできない旨を示した抗議とともに、削除改編指示の撤回と編集に関する協議を求める要望書を提出しました。しかし数日後、日司連より「削除改編指示は撤回するので、そのまま納品するように」という連絡があったため、差別行為を撤回したと理解して予定どおり原稿は納品され、委託料である85万円が法教育ネットに支払われました。
―しかし、「追補版」のお蔵入りを知ることになった?
小牧:はい。23年8月に日司連の法教育担当委員会の委員である法教育ネットの役員から、「追補版」不掲載という決定を間接的に知らされました。削除改編指示の撤回以降、日司連側からは一切の連絡がありませんでした。つまり、ひっそりと「お蔵入り」させられていたのです。その後、日司連に対し、法教育ネットHPでの公開を認めるよう求めた結果、法教育推進のための参考資料として「日司連」HPで公開されるはずの「追補版」は23年10月、民間団体である法教育ネットHPでの公開に至りました。

調停申し立ての意義を語る福本さん(左)と小牧さん(右)
―なぜ調停申し立てに及んだのでしょうか?
福本:私は当時、削除指示のあった外国につながる子どもたちへの法教育を推進していた全国青年司法書士協議会(全青司)の役員でもあり、法教育ネットの役員かつ「追補版」の執筆者という立場だったのですが、このまま黙るのはありえないと考えていました…
以上が記事の抜粋です。全文は本誌2025年9月号をご覧ください。
※調停に至るまでの経緯など詳細はこちらのリンクよりご確認いただけます。