【イオニュースPICK UP】「集団的懲罰」許されない/高校無償化巡る外相発言受け議員らが声明
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教育機会均等に反する政治的判断
会見には、中道改革連合の有田芳生衆議院議員、れいわ新選組の伊勢崎賢治参議院議員、社民党のラサール石井参議院議員、上村英明前衆議院議員、東京大学の和田春樹名誉教授、一橋大学の田中宏名誉教授が出席した。
4月から高校無償化制度を拡充した「高等学校等就学支援金新制度」が施行されるが、朝鮮高校は依然として対象から外されたままだ。

東京都千代田区の文科省前で行われた600回目の「金曜行動」(昨年12月)
民主党政権下の2010年に施行された高校無償化制度は当初、朝鮮高校も対象に含まれる前提で制度設計がなされた。しかし、2010年2月に当時の拉致問題担当相が朝高を対象から除外するよう要請したことが明らかになるなど朝高への制度適用に対する政治的圧力が強まり、制度は朝高抜きでスタート。朝高を就学支援金の対象とするか否かを判断するための審査は引き延ばされ、12年に成立した自民党の安倍晋三政権下で朝高の除外が断行された。下村博文文科大臣(当時)は13年2月、朝高への適用根拠となる「規定ハ」を削除し、10校の朝高に不指定を通告した「理由」として「拉致問題に進展がない」ことなどをあげた。
昨年10月28日、れいわ新選組の伊勢崎賢治参議院議員は参議院拉致問題特別委員会で、朝高の無償化除外について日本は国連の人権条約機関から繰り返し是正勧告を受けていることに言及しながら、子どもの権利を政治判断で否定すべきではないと主張した。これに対して、茂木外相は、「拉致された13 歳の少女に何らかの罪があったのか。これは人道問題であって主権の侵害だという立場から対応してまいりたい」と回答。さらに、12月5日の衆議院の拉致問題特別委員会で同党の上村英明衆議院議員(当時)が発言の撤回を求めると、茂木外相は「発言を変えるつもりはまったくない」とのべ、朝高の無償化除外は拉致問題に対する「報復措置」とみなされる発言を繰り返した。

伊勢崎賢治参議院議員(中央)と上村英明前衆議院議員(右)
超党派の国会議員や有識者ら9人が名を連ねた共同声明は、外相の発言を次のように非難している。政治・外交上の報復を国内の特定集団への不利益で正当化する論理は、国際法上の概念として、「本人が個人的に関与していない行為」を理由に「特定の集団」に「懲罰的な不利益」を与える「集団的懲罰」に類似する。そしてこれが有事にエスカレートすれば、国際人道法上の戦争犯罪ともみなされると警告している。そのうえで、▼国際機関が「差別的」とみなす朝鮮高校の無償化除外の撤回、▼茂木外相による公式謝罪と発言撤回、▼日本政府の国際法遵守の徹底を求めている。
“外国籍住民は外交上の人質ではない”
会見で、伊勢崎賢治議員は、「集団的懲罰は国際人道法において最も忌み嫌われる行為であり、この延長線上に無差別攻撃やジェノサイドがある」と話した。そして、「これは(外相)個人の失言ではなく、日本の構造的な問題だ。日本は『ジェノサイド条約(集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約)』(1948年採択)を批准していない。集団的懲罰に対して寛容な社会を許してはいけない」と言葉に力を込めた。

発言するラサール石井参議院議員(左)
上村英明前議員は、「これまで朝鮮高校無償化除外の問題は、子どもの権利条約をはじめ、社会権規約・人種差別撤廃条約など国際人権法(平時国際法)上の観点から論じられることが多かった。それに対して、今回の声明では国際人道法(戦時国際法)上の問題としても捉えている。(当該発言は、)こうした国際法の体系的なルールにまったくそぐわないものだ」と強調した。
ラサール石井議員は、「拉致問題に対する報復措置として朝鮮学校の無償化適用除外が許されるのなら、外国籍住民は外交上の人質も同然ということになり、悪しき先例にもなりかねない。拉致問題と朝鮮学校無償化問題は切り離して考えなければならない」と語った。

有田芳生衆議院議員も席上で発言した
田中宏名誉教授は、拉致問題が社会的に広く知られるようになってから起きた最大のヘイトクライムとして排外主義団体による京都朝鮮学校襲撃事件(2009年)をあげた。さらに、東京・町田市が2013年、新入生への防犯ブザー配布を朝鮮学校にだけ「市民の理解が得られない」として取りやめた(のち、撤回させた)例や高校無償化除外にも触れたうえで、「拉致問題を持ち出したら、朝鮮学校に対しては何をしてもいいというのが日本の風潮だ」とのべ、現状への強い懸念を示した。(文・写真:康哲誠)







