【イオニュースPICK UP】群馬で加害の歴史検証する新団体が発足/第21回追悼集会も
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昨年1月29日、県立公園「群馬の森」(高崎市)に位置していた朝鮮人強制連行犠牲者追悼碑(2004年建立)が群馬県によって撤去された。碑の撤去は、「碑文が反日的」などとする排外主義団体の街宣活動・苦情とそれに屈した県行政、そして碑の設置許可の延長を認めない県の決定を追認した司法に起因する。
2004年から始まった追悼集会は、昨年の碑の撤去後も続き、今年で21回目を迎えた。
主催団体を代表して宮川邦雄さん(日朝友好連帯群馬県民会議代表)があいさつした。また、総聯群馬県本部の李和雨委員長、群馬県朝鮮学校を支援する会の小濱一博代表、玉村町の石川眞男町長、県議会の後藤克己議員(立憲民主党)が追悼の辞をのべた。

宮川邦雄さん(日朝友好連帯群馬県民会議代表)
宮川邦雄さんは、碑を管理していた「『記憶 反省 そして友好』の追悼碑を守る会」を解散した後、新たな団体の準備委員会を発足したことに言及。「新しい団体が追悼集会を引き続き行い、戦前、戦中、戦後を検証しながら、歴史問題の解決のために活動していきたい」と話した。
李和雨委員長は、「権力は追悼碑を撤去することはできたとしても、真実を求める人々の心までは破壊できない」としながら「日本の友人たちとともに、犠牲者の名誉回復のために力強く前進していきたい」と言葉に力を込めた。
参加者らは朝鮮人犠牲者を悼み、献花した。
続いて、「戦後80年を問う群馬市民行動委員会(アクション80)」結成総会が行われた。
「戦後50年」の1995年に群馬県内では市民有志らが集まり運動体として「戦後50年を問う群馬の市民行動委員会(アクション50)」を組織。戦後の歴史を検証するとともに、過去の過ちを繰り返さないように市民として行動していくことを目的として活動を始めた。同会はのちに、「守る会」の前身となる「朝鮮人・韓国人強制連行犠牲者追悼碑を建てる会」の母体となる。このたび、「戦後80年」を機に、アクション50が目指した活動を再び行い、またその精神を継いで、アジアの人々との真の友好関係を築くための市民団体「アクション80」を結成することとなった。

川口正昭さん(前県教組執行委員長)。「アクション80」の事務局長に選出された
準備委員会の川口正昭さん(前県教組執行委員長)が今年度の活動方針を提示した。具体的な活動内容として、県内で強制連行・強制労働の犠牲となった朝鮮人の追悼のあり方について検討すること、歴史否定に抗う日本各地の団体や研究者などと連帯していくこと、朝鮮学校への補助金支出を行政に求めることで群馬朝鮮初中級学校(前橋市)の子どもたちの学びを支援すること、「群馬の森」の追悼碑撤去に至る経緯を精査することなどを挙げた。
質疑応答の後、アクション80の活動方針案などが拍手とともに採択された。
総会では、加藤昌克さん(元大学教員)、下山順さん(弁護士)、本郷高明さん(県議会議員)、宮川邦雄さんが共同代表に選出された。
アクション80は、県内外の市民の参加を広く呼びかけている。(文・写真:康哲誠)