vol.6 子どもの力を信じて
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筆者●金美和先生(24、名古屋朝鮮初級学校 教員)
「1年生だからまだできないよね」「1年生だから難しいかな」—私はこうした言葉をあまり使わないようにしている。身体能力や学習範囲には年相応の段階があっても、生活習慣や考えの幅を広げることはいくらでも可能だと考えるからだ。
幼稚班の生活から初級部の生活に慣れるまでにはもちろん時間を要するが、1年生にもできることがたくさんある。こんなことを言う私も、最初は「これは無理そうだな」「これは難しいかな?」と、児童たちの限界を考えながら譲歩した部分もあった。
しかし、私の考え方もだんだん変化していった。児童たちのできることを増やしたくて、「できた!」と喜ぶ顔が見たくて、いろいろなことにチャレンジした。時計の見方が曖昧だった児童が、「今は13時5分だからあと10分は遊べるぞ」とトンム(友達)と話している姿を見て、一人で嬉しくなったりもした。
ある朝、通学バス送迎のため、遅れて教室に向かったことがあった。あと数歩で教室だという時、児童たちの声が聞こえてきた。騒ぎ声ではない、教科書を読む声だ。ウリマル(朝鮮語)の早口言葉を練習する声も聞こえる。私はすぐには教室へ入らず、外でようすを見ていた。
すると私がいることに気づいた児童が「ソンセンニム(先生)が来た!」と叫んだ。その声に、みんな教科書をしまって姿勢を正す。「ソンセンニムが来たじゃなくて、いらしただよ」という声も小声で聞こえてくる。その光景が今も忘れられない。
子どもたちは、教師の言う通りに行動するだけでなく、自分たちで考えて行動していたのだ。右も左も分からなかった1年生がここまで成長した。1年生だからといって何もできないわけではない。できることがたくさんあるのだ。1年生! なんてかっこいいんだ!
かわいくてかっこよくて、無限の可能性を秘めた1年生。これからも一人ひとりの成長が楽しみだ。