11.静岡
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若い世代が活躍
「ハッキョ守る」思いを実践に
10月5日、この日は台風18号の影響で朝から激しい雨。一時は「静岡朝鮮初中級学校 新校舎竣工・創立50周年記念行事」の開催が危ぶまれたが、実行委員会が敢行を決意した。悪天候にもかかわらず、会場には当初の動員目標数を達成する350人以上が足を運んだ。
昨年1月、30~40代を中心に結成された新校舎建設委員会。以来1年2ヶ月の取り組みを経て、今年3月に新校舎が完成した。今年2月には創立50周年記念行事の実行委員会も発足された。
新校舎建設委員長を務めた静岡県青商会の朴珖秀会長(40)は、記念行事の実行委員長も受け持ち活動を牽引してきた。特に力を入れたのが県下トンポや卒業生に広く呼びかけての1口1万円運動。「子どもたちにより良い教育環境を」と多くのトンポたちが協力し、記念行事までで1485万円が集まった。
「普段ハッキョとあまり関わりのないトンポに、もう一度関心を持ってもらうことが一つの意義だった。ウリハッキョを取り巻く状況は厳しいのに、まだまだ少人数で頑張っている。一歩前に出ようと思ったら、ハッキョのために踏み出そうという人をもっと増やさないといけない。準備過程で、たくさんのトンポがハッキョに対する関心を持ってくれたと思う」(朴会長)。
そうして迎えた記念行事当日。会場では、静岡初中にゆかりのあるトンポたちが再会を祝う姿だけでなく、準備期間中に繋がれた世代同士が団結する姿が多く見られた。
オモニ会と女性同盟は、来客者のための食事準備に精を出していた。女性同盟本部の朱明美委員長(49)は、「子どもが卒業しても何らかの形でハッキョ支援を続けていけるよう、女性同盟ではこうして現役オモニたちの手伝いをするなど、いつでもハッキョに来てもらえる場・雰囲気作りを心がけている」と話す。
アボジ会も、記念行事をきっかけに2年ぶりに総会を開き、再び保護者同士の交流を繋いだ。手始めに、ハッキョへ遊具をプレゼントしようと募金運動を企画した。
今年60周年を迎えるイオ信用組合は、本業以外でも、ハッキョと地域トンポ社会に対する地道な支援を続けている。この日も職員たちが、会場の後片付けなど繊細なフォローで行事を支えた。
青年同盟は、地域同盟員による「50人大合唱」を目標に幅広く呼びかけをし、本番で迫力のある公演を披露した。ここには地元を離れ、朝鮮高校や朝鮮大学校で学ぶ卒業生たちも多く参加。1口1万円運動でも、目標額の100万円達成が近い。
静岡初中の朱寧春校長(56)は、「記念行事を通して、静岡トンポ社会での世代交代がしっかりなされていると実感した」と話す。「若い世代が、『自分たちのハッキョを守る』という高い意識を持ち、強く団結している。数年後、実践となって確実にトンポ社会の発展に繋がっていくはずだ」(朱校長)。