vol.8 旅券提示求められ…在日コリアン宿泊拒否問題
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Q1 何があったの?
新聞報道によると事件が起きたのは昨年9月。当事者の女性が予約していた新宿区の「東京ビジネスホテル」にチェックインしようとしたところ、従業員から「外国人には宿泊時にパスポート(旅券)か在留カードの提示を求めている」と言われました。女性は保険証や名刺を出して日本に住所があることを示したうえで、パスポートを提示する義務はないことなどを説明したにもかかわらず、従業員は「通名を書くならば泊まれる」と返してきたといいます。
女性はホテルによる宿泊拒否は「外国籍を理由とした差別」であり、精神的苦痛を受けたとして5月22日、ホテル運営会社に損害賠償を求める訴えを神戸地裁に起こしました。訴状では、通名の使用を求めることは人格権の侵害にあたると主張しています。これに対し、ホテル側は「国内に住所があるか確認するために旅券等の提示を求めた。差別には当たらない」と主張しているとのことです。
Q2 在留資格を示す証明書の提示は義務付けられているの?
いいえ、義務付けられていません。日本では旅館業法で、ホテルの経営者ら旅館業を営む者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、連絡先を記載することが義務付けられており、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、これらの事項に加え、その国籍及び旅券番号を記載することが義務付けられています。一方、宿泊者には、営業者から求められた場合、これらの事項を告げなければならないことが義務付けられています(同法第6条及び同法施行規則第4条の二第3項)。
しかしながら在留資格を示す証明書の提示を義務付ける規定は何もありません。また、宿泊者が日本に住所を有することを証明しなければならない規定もありません。
Q3 提示を求められたときの対応は
上記のように旅館業法では宿泊者に証明義務を課しておらず、ホテル側にも証明書の提示を求める義務まで課しているわけではないことをしっかり主張すればどうでしょう。また、「日本人にも『日本国内に住所を有しない外国人』ではないことを証明するものの提示がなければ宿泊拒否をしているのか?」と問い、そうはしていないと返事があれば、「ではどうやって確認しているのか。その当事者の言葉を信じているからではないのか」「外国人の言葉は信じられないというのは差別的対応ではないのか?」と問いただすのもいいかもしれません。
このたびの事件の当事者のように、裁判まで行うことは大きな社会的意義を持ちますが、相当な負担を当事者に強いるという側面もあり、多くの人にとって簡単なことではありません。まずは人権協会や同胞法律・生活センターあるいは最寄りの同胞生活相談センターにご相談されることをお勧めします。(人権協会:03-3837-2820)