“困ったら相談を”/朝鮮籍の海外旅行 専門家に聞くノウハウ
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文・写真:張慧純
「朝鮮籍で行ける国は?」―問合せ多く

中外旅行社の李紀哲さん。同社は東京・上野駅から徒歩2分の便利な場所にある
東京・上野の中外旅行社(徐賢社長)には、「朝鮮籍者が行ける国はあるの?」「〇〇の国に行きたいのだが、ビザは取れますか?」といった問合せが、週に数件かかってくるという。「今日もベトナム旅行について問合せがありました」と同社の李紀哲課長(42)。「朝鮮籍はどの国に行くにもビザが必要なので、行ける国がどこか、どのように手続きをすればいいのか、そもそもビザが取れるのかを聞かれる方が多いです。最近では、東南アジアに関する問合せが多いです」と話す。
同社のホームページ(5月にリニューアル)には、朝鮮籍者のビザ取得に関する情報が記されている。国別の取得期間、取得方法などで、EU29ヵ国をフォローするシェンゲンビザは比較的取りやすく、米国、カナダ、オーストラリアなどはむずかしいことがわかる。
李さんは、「以前は旅行会社が旅行者の代理でビザ申請の書類を作り、大使館で手続きをしていましたが、2010年代中盤ごろからは本人申請が基本となっています。ビザ取得に関しては、その時々で情報が変わるので、大使館に問合せ、渡航した経験者の情報も集めて万全な準備を整えることが大切です」と話す。
そして、何より朝鮮籍者が海外に行くときの「基本」を抑えてほしいと念を押す。「朝鮮籍者の場合、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の旅券を持って渡航することを強く勧めます。旅券は身分証明のために必要で、盗難、事故などのトラブル時には、なくてはならない書類です。旅券は最寄りの総聯本部、支部を通じて申請すると発給されますが、その後のビザ取得期間も鑑みて余裕を持って渡航の3ヵ月くらい前から申請してください。また、再入国許可証の発給、更新を忘れず、渡航時には必ず特別永住者証明書を持って渡航してください」。また、「韓国籍の方で特別永住者証明書を忘れて、『みなし再入国(38p参照)』が適用されない事例がたまにあります。気をつけてください」とも指摘する。
「今や旅行会社を介さなくても飛行機やホテルの手配はできますが、格安旅行券には落とし穴があります。価格の安い飛行機便の場合、荷物を1つしか持ち込めない(通常2つ)、払い戻しが一切できないなどの制約があります。アンテナを張って情報を入手してほしいですね」
中外旅行社は1968年の創業。同胞たちの祖国訪問や朝鮮籍者の海外旅行を手配してきた歴史を持つ。朝鮮の高麗航空、朝鮮国際旅行社の総代理店で、観光庁長官登録旅行業(第一種)の資格を持ち、得意とするのは、朝鮮旅行や中国ビザの代行申請などだ(現在、日本からの一般旅行客の朝鮮旅行は中断中)。同社を通じてJTB、クラブツーリスト、日本旅行など日本の大手の旅行社が企画するパック旅行を利用することもできる。
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以上が記事の抜粋です。全文は本誌2025年7月号をご覧ください。
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日本で生まれ育った外国人。そして母語が日本語で日常生活が日本式。それは、戸籍を持たない日本人とも言える。そう、(帰化済であるが)私も……。