明日、卒業式
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1日、朝鮮学校に「無償化」適用を求める集会が、東京、愛知、大阪、京都、兵庫、広島で同時多発的に行われました。東京では文科省庁舎を300人で包囲し集会を行い、代々木公園に移って集会を開いた後、1800人のデモ隊がシュプレヒコールを高らかに叫びながら渋谷の街を練り歩きました。(朝鮮新報/代々木で「高校無償化」集会 “卒業式までに適用を!”)奇しくも3月1日は、日本の朝鮮植民地統治支配下、朝鮮全土で民衆たちが支配に抗して立ち上がった歴史的な日でもあります。
集会には、例のごとく「在特会」(在日特権を許さない市民の会)が妨害にやってきていました。毎度毎度性懲りもなくご足労さまです。私たちが集会を行っている文科省前の道路を隔てて向こう側から、「ゴキブリ朝鮮人」「きちがい朝鮮人」「朝鮮帰れ」などと、ヘイトスピーチを浴びせてきました(写真)。
罵声を背に受けながらある日本人の青年が、「文科省は見えていますか? 後ろの人たちが。あなたたちの行っている教育や政策が、あの人たちにあんな心ないことを言わせているんですよ。あなたたち文科省の責任です。しっかり見てください」と淡々と話していました。「在特会」の挑発には些かも動じず冷静に訴える彼の姿に、胸のすく思いでした。
この日、集会を終え友人らとの食事の席で、この問題における「主張」について話し合いました。朝鮮学校生徒たちや保護者、教職員、専従活動家、日本の友人らなどが、集会の場で、文科省や内閣府での要請行動で、あるいは街頭で、たくさんの主張をしてきました。
ある人は国連の諸人権規約と日本国憲法などに基づき不当性を明らかにし、ある人は全ての子供たちに等しい教育権をと謳い、またある人は朝鮮学校の歴史を訴え、地域社会に根付く今日のウリハッキョの姿を伝えました。しかし、連綿とつづく日本の植民地主義、排外性の問題を問うことなしには問題の本質的な解決には至りません。何を持って私たちの権利を主張するのか、これは私たち自身が絶えず自問自答しなければならない問題だと思います。
集会で答弁した朝鮮大学校の金星玉さんは次のように話していました。
「日本政府が朝鮮学校を無償化から除外することは、本質において同化教育を国家権力で推進していることを意味します。これは民族教育の自主性の侵害であり、絶対に許すことはできません。朝鮮語に『真心を込めて建てた塔が崩れようか』ということわざがありますが、私たちが行ってきた署名活動やビラまき、集会など今までの努力が無駄になることはないと確信しています。それはその一つひとつにウリハッキョを守ろう、子どもたちを守ろうという真心が込められているからです」
「同化教育を国家権力で推進している」。実に言い得て妙だと、弱冠19歳の学生が問題の本質を的確に主張する姿に、朝鮮学校の民族教育の質の高さを改めて感じました。
明日、朝鮮高校の生徒らは卒業式を迎えます。
このブログを書いている3月2日現在、卒業式までの「無償化」実現は絶望的です。卒業を控えたかれ・かのじょらの胸のうちはどんなだろうと想像してみます。無念はいかばかりでしょうか。保護者はどうでしょう。文科省はせめてなんらかの情報だけでも提示してくれないものかと、藁にもすがる思いでしょうか。卒業式をこの目でしっかりと見届けたいと思います。(淑)
大阪でも集会
「在特会」、やっぱり来てましたか(呆)
同日、大阪でも「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」の結成集会が開かれました。大阪では、3月4日に「無償化除外2期生」が卒業を迎えるのを機に、無償化と補助金の復活を求めて訴訟を起こします。弁護団長は、在日外国人の人権問題で精力的に活動している丹羽雅雄弁護士です。
大阪府では、2010年度から高級学校に対する補助金が停止され、2011年度予算では、初中級学校に対する補助金も10分の1に減額。2012年度当初予算では、最大で2億7千円あったウリハッキョに対する補助金がゼロになっています。まさに危機的状況です。
このような補助金カットの背景には、橋下前知事率いる「維新の会」をはじめとする政治勢力の圧力があります。
昨年10月に行われた府議会の教育常任委員会で、一部の議員が、朝鮮学校に対する補助金の支給について、「拉致被害者が全員帰国するまで支給すべきでない」「教室に<独島><東海>と書かれた地図があるのは問題。日本の見解のみを教育すべき」等々と主張したそうです。
私は、集会でこの事実を知って、不謹慎ながら思わず笑ってしまいました。ウリハッキョが<竹島><日本海>って言ったら、それはもはや「朝鮮学校」じゃないよ…。
このような裏幕を知らない多くの人々は、大阪の補助金の問題は「肖像画」だけが争点だと思っているでしょう。朝鮮学校は何をそこまでこだわっているのか、と。
しかし、今や大阪の問題は、ウリハッキョの根幹の部分で抜き差しならぬ対立が生じているのです。彼(彼女)らは、「朝鮮学校」であるウリハッキョの息の根を本気で止めようと考えています。
この闘いは絶対に負けることはできません!
ウリハッキョサラン大阪さん、
今後、補助金なしでも成り立つ道を考えないといけないかもですね、現実的な話。
確かに
日本政府を相手に期待しても無駄だと思います。
日本人の朝鮮人に対する共感を醸成しないと政府も変わらないと思う。
Unknown
胸が痛くてじっとしていられず、卒業式の日、卒業生たちに詩を送りました。
「愛しい 卒業生たちよ」
許 玉 汝
冷たい風をはねのけ咲き誇る
梅や桃の花も
かぐわしい香りを放ち
君たちの卒業を祝っているのに
心の傷を癒してあげることさえできず
君たちを送らなければならない私たちは
どのような言葉で送れば良いのだろう
「自分のルーツを愛し
未来に夢を持つことが
そんなに悪いことなのですか?!
私たちも同じ高校生です」
君たちの叫びがこの胸を突き刺し
眠れなかった夜は幾夜であったろう
受けて当然の権利を奪われ
夢多き君たちの胸に
釘を打った ハレンチな輩共
考えるほどに五臓六部が張り裂け
無念なこの胸を なだめるすべも知らぬ
だが卒業生たちよ
悲しみの涙は決して流さないでおくれ
君たちも 見たではないか
どれだけ多くの良心が私たちの傍にいるかのを
ウリハッキョを建てて下さった1世たち
ウリハッキョを守ってきた2世、3世たち!
朝鮮学校の問題は私たち自身の問題だと
共に街頭に立ってくれた善良な日本の人たち!
海の向こうから
頑張れ 私たちは共にいると
いつも支えてくれた我らの兄弟たち!
愛しい卒業生たちよ
いまだ 刃のような風はふぶき
前途をふさぎ 猛威をふるっても
麗らかな春の日は必ずやってくる
その日を信じ もう一度駆け抜けよう
私たち自身の力で早めよう その日を
卒業生たちよ
愛しい卒業生たちよ
胸を張って巣立てよ
洋々たる未来は君たちのものだ!
(2012年3月吉日)
皆さんコメントありがとうございます
>ウリハッキョサラン大阪さん
懇切丁寧なコメントありがとうございます。
集会に参加されたそうで、お疲れ様でした。
ご指摘の通りです。朝鮮学校への政治介入は自決権の問題であり、ひいては朝鮮人の生存権の問題であり、決して許されてはいけません。
>ramyongさん
コメントありがとうございます。
朝鮮学校が厳しい運営を迫られているのは現実で、これについての建設的な議論は重要だと思います。ですがその問題と補助金の問題とはまた別問題で、同じ文脈では語れないのでは、と思います。
>ドンドルマさん
コメントありがとうございます。
沢山の日本の友人たちと連帯を強めながら、より多くの人びとと手を携えていけるよう、発信して参りたいと思っています。
>オンニョさん
子どもたちへの愛情あふれる詩、ありがとうございます。
私は東京の卒業式に参加しましたが、生徒らを誇らしいと思えば思うほど、悔しさがこみ上げてきました。