vol.14 米国が現職大統領を拘束 緊迫するベネズエラ情勢
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Q1 アメリカはベネズエラで何をした?
内外の報道を総合すると、米軍の作戦は1月2日夜に開始。空爆などで防空システムを破壊したのち、ヘリコプターで首都カラカスに到着した部隊がマドゥロ大統領の邸宅に突入し、マドゥロ氏と妻を拘束。その後、船舶と航空機でニューヨークに移送した。ベネズエラ政府の公式発表によると、この過程で民間人を含め計100人が死亡した。
Q2 今回の攻撃の目的は?
アメリカの一貫した「関心」が何なのかは、トランプが昨年末にSNSではっきり伝えている。チャベス前政権以前は「アメリカのものだった石油資源をアメリカに取り戻す」ことである。トランプだけでなく、南方軍司令官も「民主主義の問題ではなく、戦略的資源を確保することだ(西半球はアメリカの庭)」と明言している。そしてトランプは「最強の」無法者(国家)としてベネズエラを潰しにかかった。それが昨年の秋以来カリブ海南岸に起こった事態である。
Q3 アメリカの対ベネズエラ政策の背景にあるものとは?
アメリカは20年来の宿願を果たした。ウゴ・チャベスがベネズエラに作り出した「人民のための国」を攻略することである。
1999年に大統領に就任したチャベスは豊かな石油資源の利益が国民全体に及ぶよう、それによって膨大な貧民層が福祉を受けられるよう制度改革を行った。また農地改革を実行し、地方の貧農が大都市に流民化せず、それぞれの地域で生きてゆける条件を作り出した。何より、石油収入に頼らず自立した国づくりをめざした。しかしそのことは、富裕層・特権層の利害を多く損なうことになり、彼らは中間層も巻き込んでチャベスの「強権独裁」を批判、アメリカ国務省等の後押しで「民主化」を求めるデモを展開した。そして2002年4月にCIAや軍の一部の支援を受けてクーデターを起こすが、首都カラカスの街路を埋め尽くした200万民衆の抗議によって、軍はチャベスを大統領府に帰還させ、クーデターは挫折した。
チャベスはクーデター派を形式的にしか罰しなかった。その代わり、従来の政治構造(階級構造)の外に新しい(といってもじつは古くからの)生活協同体の形成を促進した。市場経済の外で(もちろん相対的だが)、中央権力への依存からも自立して、限られた地域で人びとが助け合い生活できる協同体「コムーナ」だ。コムーナはマドゥロ政権がアメリカの強力な経済制裁下でハイパーインフレに苦しむ中、そしてコロナ禍でどの国も社会的封鎖で苦しむ中、グローバル経済システムどころか貨幣経済の制約をもかいくぐりながら、小さな生活圏のネットワークとして発展し、人びとの日々の生活を支えるようになった。
コムーナとは、アメリカ式新自由主義が世界のいたるところを引き臼にかけてゆくときに、搦め手からその引き臼が効かなくする、そして人びとが協同で自立的に生きることを可能にする無数の空隙のうね作りなのである。それがアメリカには許しがたかったのだろう。








