vol.4 輝かしい第一歩
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筆者●金美和先生(24、名古屋朝鮮初級学校 教員)
昨年4月、同校に赴任して2年目を迎えた私は、民族教育の出発点ともいえる1年生の担任を受け持つことになった。不安に駆られたが、入学式当日、緊張した面持ちで校門をくぐる1年生たちを見てふと思った。私が堂々としていなくてどうするんだと。
親も児童も、学校で学ぶことについて何かしらの不安を持ち合わせている。勉強についていけるだろうか、日本の幼稚園から朝鮮学校に入学してきたがトンムはできるだろうか…。そんな不安一つ一つと向き合おう。そして、私も“1年生担任の1年生”として共に学んでいこうと心に決めた。
名古屋初級では、低学年の縦割りグループを作り、週に2回、チームワークを深めるための活動を行っている。1学期は6.15共同宣言など、ウリナラ(朝鮮民主主義人民共和国)に関する様々な学習を行った。1年生からすると、まだウリナラ=韓国というイメージだ。それを覆す内容に、どんどん真剣な表情になっていく。祖国分断の歴史や統一運動について知り、自分なりに解釈した様子だった。
その日から1年生の中で、ウリナラに対する興味がぐんと上がった。児童たちは、教科書に「조선」という単語が出るとウリナラについてたくさん質問するようになった。私が白頭山と金剛山に登ったことや平壌冷麺のおいしさについて話すと、児童たちは「ずるい」と頬を膨らませ、「自分たちも早くウリナラに行きたい」と話していた。
習ったことについて、家でも自慢気に話しているようだ。保護者からは、「子どもが6月15日が何の日か聞いてきたので答えると楽しそうにウリナラについて話してくれ、親として嬉しい」と連絡があった。
ウリナラやウリマル、「ウリ」について学び、少しずつチョソンサラムに育っていく姿は見ていてとてもまぶしく愛らしい。
1年生としての第一歩、チョソンサラムとしての輝かしい第一歩である。