出張取材のあれこれ
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現在地は山口県。ただいま出張取材中だ。
改めて振り返ると記者1年目は多くの経験を積ませていただいた。初出張の取材は、奈良県で行われたラグビーフェスタ「奈良トライ人フェスタ」(昨年6月)。
そこから旅企画の特集取材で淡路島にも寄った。次は大分の同胞を取材するために九州地方へ。そして11月末には沖縄取材。沖縄では1週間滞在した分、現地での取材の成果は何号かに分けて掲載している。次号3月号では、同胞経営の「大衆焼肉 キンジテ」をご紹介するのでお楽しみに。ちなみに、誌面に掲載し切れなかった分を「沖縄取材雑記」と題し、ブログで紹介してきたが、のらりくらりと綴っているせいで隔週連載となってしまった。次の(哲)のブログで締めたいと思う。
そして今回は愛知、京都、そして山口へ。ずいぶんと出張取材には慣れた。が、「慣れ」は慢心、油断となり大きなミスにつながりかねない。私にとっては数ある取材の一つだとしても、誌面に掲載されるのは、当たり前だが、たった一度である。それを待ち望んでいる同胞も少なくない。常に緊張感を持って臨み、取材対象のエッセンスを最大限に汲み取りたい。
今回の出張では、次号の特集「私が本を出した理由(仮)」に関する取材と山口の長生炭鉱追悼式などを取材する。
先月30日は、名古屋に拠点を置く風媒社の編集長・劉永昇さんを取材した。
風媒社は社会科学、ノンフィクション、地域本などの刊行物を世に送り届けている。そこで「看板」とも言える編集長を務める、在日コリアン3世の劉さんは昨年9月、『関東大震災 朝鮮人虐殺を読む 流言蜚語が現実を覆うとき』を上梓した。なぜ本書を出したのか、また在日コリアンとして、編集長としてどのような思いで発信しているかについては次号本誌に譲りたい。私自身、雑誌の一編集者として編集・出版に携わる大先輩との対話は大きな経験となった。
昨日は京都で詩人として活動する姜湖宙さんを取材。
昨年3月に初詩集『湖へ』を発行し、第25回小野十三郎賞の最終選考まで残った。6歳の時に韓国から渡ってきたニューカマーである姜さん。日常生活の実存から湧きでる思いを書き綴った生活詩は、自らの存在に対する葛藤、家族、そして民族とありのままの生きる姿を映し出す。散文や具象画といった創作活動もしている姜さん。なぜ詩を書き続けるのか―。その作品世界と思いに迫った。
また、その前日は「保健室の先生」を取材をした。京都朝鮮初級学校では、2021年から常勤養護教諭を受け入れた。岐阜出身の曺元実さんは、学校の保健事業を一手に引き受け、常に園児・児童たちとコミュニケーションを取りながら、同校園児・児童のみならず教師や保護者を含む学校全体に「安心」を提供している。そんな曺さんの「ウリハッキョにおける保健室」にかける思いは4月号の連載「30s40s」で紹介したい。
取材で京都初級に2日間お邪魔したが、バリアフリーが進み、エレベータが完備されていた校舎の設備にびっくり。そこで学校生活を送る子どもたちの元気さと素朴さに力をもらった。
昨晩に山口入りし、本日はこれから長生炭鉱関連の取材と同胞飲食店の取材だ。取材を通して同胞の今を直に知ることができる喜びをかみしめつつ、日々を大切に過ごしていきたい。
それでは、行ってきます。(哲)