油との格闘
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一人暮らしで10年以上住んだ家と地域をついに離れることになった。
今まで住んでいた地域には有名な商店街があったため、あまりにも暮らしやすく、できれば離れたくはなかった。
しかし、引越しは待ってくれない。
いざ迫り来るその時に合わせ、ここ2ヵ月ほどいらない物や粗大ごみの処分をしていた。
「このごみはどう処分すればいいのか」
ずっとごみの処分をしていると分別に詳しくなるし、粗大ごみの捨て方もかなりわかってくる。
検索しては実践する。色々と学ぶ日々だった。
ごみ処理作業の中でも特に面倒くさく厄介だったのが、油絵の具の「溶き油」だ。
朝鮮大学校 美術科(研究院)では油絵を専攻していたのだが、その時の道具が大量に残っていた。
クローゼットに封印されし、油絵の具たち…。
ずっと見て見ぬふりを決め込んでいたが、いよいよ解放する時がやって来た。
………
溶き油を捨てるにはまず、ごみ袋の中にクシャクシャにした新聞紙を入れ、残った油をかける。
その上から水をかけて密封して捨てる。殻になった瓶は、不燃ごみとして出す。
この作業をドア前の廊下で行っていたら、知らぬ間にごみ袋から油が染み出し、結構な範囲で廊下に染み込んでしまった。
軽く絶望する。脳裏に浮かんだのは「敷金」だ。
そこから「油 コンクリート 落とし方」を検索し実践する日々が始まる。
重曹やハイターを買い込み落としていくが、コンクリートが無駄に白くなっただけに終わった。
結果、染み込んだ油はキッチンマジックリンでなんとかなったが、範囲が広すぎただけにそれ以上の作業は断念した。
新居に引っ越してからも、不要な食器や段ボールを捨てまくる毎日だ。(麗)