「一歩目」
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今年3月に朝鮮大学校外国語学部を卒業し、新入社員として月刊イオの編集部に配属された。今回はあいさつの意味も込めて、これからの決意を書き留めようと思う。
これから記者として活動していくが、実を言うと、大学の入学当初はまさか自分が記者になるなんて考えてもみなかった。
自分がこの道に進みたいと思ったきっかけは、昨年の教育実習の経験と朝鮮新報社での実習だった。
教育実習では東京出身ということもあり、東京の朝鮮学校に行った。担任したのは中学生。かれかのじょには何かを教え与えることより、教わったことのほうが多い気がする。
そんな中、昨年の朝鮮民主主義人民共和国のミサイル発射をめぐって、在日朝鮮人、とりわけ児童・生徒たちへのヘイトスピーチやヘイトクライムが多発した。このことに対する日本社会での反応や対応、「多文化共生」や「他者の尊重」という理念が形骸化している現状は、私に「このままではだめだ」という強い危機感を抱かせた。
「在日朝鮮人」という存在は、もとはといえば、日本の帝国主義、植民地主義によって生まれたものであり、現在の日本社会にも植民地時代から続く朝鮮人蔑視が根強く残っている。日本政府の朝鮮への敵視政策や朝鮮学校への高校無償化制度からの除外によって、「差別意識」が作られ、日本社会の中で増幅している。
これが今にわたる私の問題意識であり、記者になろうと思った強いきっかけだ。
この決意を胸に、新報社へ実習に行かせていただいた。
実習期間、実際に先輩記者とともに、「記者」として取材を行うことができ、多くを学び、「自分もこれからこの仕事がしたい!」と強く思った。
そして、また朝鮮新報社に戻ってくることができた。
やっと本物の記者として、そしてこれからの在日朝鮮人運動を担う一員として、第一歩を踏み出すことができた。
今はこれからの取材活動や、新しい人たちとの出会いへの期待で胸がいっぱいだ。
これからは同胞たち、今朝鮮学校に通っている子どもたちがもうこれ以上自分たちの存在を疑い、迷い、苦しむことがないように、「在日朝鮮人」という存在と朝鮮の正当性を同胞社会、日本社会、そして国際社会に発信していこうと思う。
また、新社会人は一年目が大事といわれている。
この「一歩目」を皮切りに、二歩、三歩と同胞社会のために、どんどん歩みを進めていく思いだ。
最後に、これから誌面越しに会う方々、そして直接会うことになる同胞をはじめとする様々な方々へ。
これからよろしくお願いします!(哲)