長崎県の端島は、軍艦島という名で知られています。私は日刊イオで何度も軍艦島のことを取り上げてきました。９年前に取材で訪れたからです。

軍艦島は２０１５年に「明治日本の産業革命遺産」の一つとしてユネスコ世界遺産に登録されています。私のブログも世界遺産登録に関して何度か言及しています。ぜひ、検索して読んでもらいたいと思います。

「明治日本の産業革命遺産」は軍艦島以外にも炭坑や製鉄所などが含まれていますが、植民地時代、23施設の中の７施設で日本による朝鮮人強制労働があり、登録に際して韓国から批判が寄せられていました。

登録から４年、韓国のハンギョレ新聞（ウェブ版）が４日、軍艦島と世界遺産についての記事を発信しています。

「日本、軍艦島ユネスコ報告書から「朝鮮人強制労働」全削除」というタイトルの記事です。http://japan.hani.co.kr/arti/international/35131.html

記事をぜひ全文、読んでもらいたい。世界遺産は２年に１度、保全状況報告書を公開することになっていますが、19年の報告書でも「朝鮮人強制労働被害に対する言及はない」として「朝鮮人強制労働被害者の歴史は消されたまま、日本の産業革命成功の歴史を誇示する場としてのみ宣伝されるものとみられる」と記事は批判しています。

記事にもありますが、登録の時の審議で日本は、「1940年代に朝鮮人などが『自分の意志に反して』動員され、『強制労役』したことがあった。犠牲者を追悼するため、情報センター設置などの措置を取る」としていました。しかし、まったくなされていない、歴史を隠蔽・歪曲し続けているというわけです。

私が軍艦島を訪れたのは登録の前ですが、登録に向けた運動が始まっていました。軍艦島に向かう船の中の放送でも、軍艦島の展示物やガイドの説明でも、朝鮮人強制労働があり多くの朝鮮人が犠牲になったということは一言も触れられていませんでした。非常に腹立たしい思いをしました。

現在日本は、右傾化がどんどん進み、その中で侵略や植民地支配といった過去の国家犯罪をなかったこととする歴史修正主義が大手を振っています。軍艦島の問題は氷山の一角にすぎません。

日本は一日も早く過去を清算しなければ、崩壊への歩みを止めることはできないでしょう。（ｋ）