根っこの広さ
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7月31日から8月2日にかけて長野へ行ってきた。31日は飯田市で行われた人形劇フェスティバル(10月号で掲載予定)を、1日と2日は松本市内のトンポトンネと長野朝鮮初中級学校を取材した。
長野初中で過ごしていると、とある方が駆けつけてくれた。なんと私の母校・北海道初中高で音楽の授業や合唱の指導などをしてくれたソンセンニム。私が高級部を卒業する年に寿退社し、別の地方で暮らしていると風の噂で聞いていたが、子どもを朝鮮学校へ通わせたいからと3年前から長野に移住していたという。私の名前を聞いて会いに来て下さり、約10年振り(!)の再会。同級生や先輩後輩、北海道初中高の近況などで盛り上がった。ソンセンニムは話し方や髪形、雰囲気まで当時のままで、懐かしい空気に癒された。
さらにそのあと、これまた北海道初中高のソンセンニムと偶然の再会。私が中学2年生のとき、北海道初中高が主催する、日本の学校に通う同胞生徒のための行事に参加した。その際に車で最寄り駅まで迎えに来てくれたのが最初の出会いだった。小さい頃から知っている少しの同胞と親戚以外に同胞の知り合いが全くいなかった私にとって、思春期に外で出会った初めての同胞だったかもしれない。同じ姓の方に会ったのもそのソンセンニムが初めてで、とても新鮮だった。
今年から静岡朝鮮初中級学校の校長に就任されたことは知っていたが、まさか長野初中に合宿に来ていた静岡初中の生徒たちを迎えにきたところに出くわすとは。子どもたちと接するときのいきいきとした表情や明るい話し方がなにも変わっていないなとほっこりした。
そのほかにも、どこかでつながっていたり過去にお会いしていたりと、印象的な出会いや再会がいくつもあった。上田市に暮らすある保護者は、私が5年前にも長野へ出張に来たことを覚えていたらしく、なんと名前まで絞り出して下さった。
続けて話していると、当時接した児童のオモニであることが発覚。その児童は「〇年〇月〇日」と日付を言うと独特の計算方法?でその日の曜日を言い当てることができるという凄い能力の持ち主で、私はスマホのカレンダー片手に何度も曜日を当ててもらって興奮したのを覚えている。現在は地理などに興味があるらしい。
出張先で、このように遠くの人同士がつながったり初めて会う人とでも共通点を見つけることができるといつも嬉しくなる。朝鮮学校を中心としたコミュニティの底にある根の広さというか、結びつきの強さを改めて実感した数日間だった。(理)