６月２４日の日刊イオで「北朝鮮にも普通の人々の普通の生活があった」https://www.io-web.net/ioblog/2019/06/24/78645/　という文章を書いた。その言葉と地続きのような言葉として、「こんなことをしていたら北朝鮮みたいな国になる」「まるで北朝鮮みたい」というものがある。

今の日本政府を批判する時に用いられる言葉だ。

選挙期間だったからか、この言葉が現政権に反対する人たちによって用いられ、またそんな言葉を用いることを批判する投稿がＳＮＳ上でよく見られた。しかし、これらの言葉は、今に始まったものではなく、「拉致問題」が浮上した後、日本社会で「北朝鮮バッシング」の嵐が吹き荒れ、朝鮮のイメージが最悪になっていく中で見られるようになった。

何年か前、文科省前で高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する少人数の抗議行動に参加していた時のこと。夕方になってある日本人の集団がやってきて文科省に対する抗議行動を始めた。順番にハンドマイクを持って日本政府を糾弾する人たち。何人目か、抗議の最後に「こんなでたらめな政策を続けていたら、北朝鮮みたいな国になってしまいますよ！」と叫ぶのだった。

その言葉を聞いた私たちは、さっさと荷物をまとめてその場を立ち去った。非常に腹が立った。テレビのニュースでも、野党の国会議員が政府を糾弾する時に、「このままだと北朝鮮みたいになる」「まるで北朝鮮みたいだ」と言っているのを聞いてきた。

こんなことを言っている限り、自分たちが反対する勢力に絶対に対抗できないし、世の中を良くするための運動も生み出すことはできない。

これらの言葉は、日本が朝鮮を植民地化し分断をもたらしたという、歴史的な観点がまったくなく、反省が完全に欠如したものだ。そして、差別意識にまみれている。こんな言葉を使うことが現政権を反対する勢力、自らの支持者を増やすことになると考えているとしたら、とことん愚かだ。

崩壊へと向かう日本社会を象徴する言葉だと思っている。今回の選挙結果についてはノーコメントだが、日本は本当にどんな国になっていくのだろう。（ｋ）