親の知らない所で
広告
私事だが、先月26歳になった。実家を離れて生活するようになって11年目、東京に出てきて8年目、働き始めて4年目。いつの間にか、「自分ってこういう考えをするようになったんだ」とか「こんなことができるようになったんだ」というものが増えてきたように感じる。
正確な時期は覚えていないが、小学校に上がる前くらいに、本当にちょっとしたことがきっかけで少しだけ自分に自信が持てなくなった。そんな深刻なものではなく、写真を撮られるのが嫌で自然に笑えなくなったり、人前で堂々と歌えなくなったり、ふざけられなくなった。保育園に通っていた頃は活発でかなりのお調子者だったから、もしかしたら両親は戸惑ったかもしれない。
時が経つにつれて色んな人や本やものと出会い、少しずつ自分に肯定的になれたり、気もちの折り合いのつけ方を見つけることができた。そういう気持ちの面での成長を経てきたと自分で思う。ウリハッキョに入ったことも大きかった。
でもこの一連の気持ちの動きをきちんと両親に話したことはない。なんとなく悲しむだろうなと思って、自分に自信がないということは話していなかった。勝手に自己完結したようなものだ。
そんなことを振り返りながら、人は必ずしも親の知っている所でだけ成長するものではないのかなと思った。親の知らない所での葛藤があって(「何か」があるんだろうということは気づかれるかもしれないけど)、親の知らない所で克服している。そういうことは私の弟にも、友人にも、きっとみんなにあるものなんだろう。
そう考えた時に、いつか自分の子どももそういう気持ちを持ったり葛藤を経たりするのかなあと思って結構本気で心配になった。私はうまいこと色んな出会いや気づきがあって気持ちを克服できたが、みんなそうなのだろうか。どうか自分の子どもには、自分の知り得ないところでも健やかな心で育って欲しいなと思う。まあ、これは気が早すぎるにも程があるのだけれど…。(理)