朝鮮の夏休みは
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ここ最近、日本にいる編集部員や同僚、知人からのメールには、9割方、気温や暑さに関する内容が含まれている。連日、相当な暑さのようだ。
平壌の日中の最高気温は30~35度くらいで、こちらも例年より暑いそう。日中に長い時間外を出歩くことがないので、外出から帰ってきたガイドのYさんの表情や言葉から、その日の暑さを感じ取っている。
暑さがいくらかやわらぐ夕方の時間に、大同江のほとりを散歩するのが週末の楽しみだ。遊歩道では釣りや朝鮮将棋、トランプなどを楽しむハラボジや、音楽に合わせて踊るハルモニなど、夕暮れ時をゆったりと過ごす中高年が多い。はたまた若い夫婦やカップルが原っぱに横になって涼んでいたり、子どもたちがボール遊びをしていたりと、大同江畔には老若男女の生活風景が広がっている。
つい先日は、ぴったりと寄り添って歩く恋人たちを発見。夏の暑さにも負けないほどのアツアツぶりを見せつけられた。女性のバッグを男性が持っていて、朝鮮にもそんな習慣があるのかと驚いた。でも個人的には、自分の持ち物は自分で持つべきだと思う(決して妬んでいるわけじゃない)。
平壌の夏の風物詩といえば、タンコギ(犬肉)だ。昔から朝鮮半島では、夏の最も暑い日を「三伏(サンボク)」といって、暑気払いで滋養食を食べる習慣がある。日本でいう「土用の丑の日」だ。三伏は、7月中旬から8月初旬にかけて3日間あり、それぞれ初伏(チョボク)、中伏(チュンボク)、末伏(マルボク)と呼ばれる。「伏」には「暑気払いする」という意味があり、この3日を「伏日(ポンナル)」ともいう。
今年は初伏は7月18日、中伏は28日、末伏は8月7日で、初伏と中伏に犬肉を食べた。
しかし最近は初伏にだけ犬肉を食べて、あとの2日は参鶏湯や牛肉のスープなど、別の料理を食べる人も多いそう。ローカル紙では、それは間違った習慣だと指摘し、伝統にそって3日間犬肉を食べることを推奨していた。とくに若い女性は好まない、と現地の人に聞いたが、実際、犬肉を食べた両日とも、同席したのは30~60代の男性たちで、女性は私一人だった。
ところで朝鮮には夏の休暇がない。8月の祝日は、祖国解放記念日である8月15日と先軍節の25日だけ。
7月の祝日、27日の「戦勝記念日」は日曜日と重なった。もちろん振替休日などない。貴重な休みがなくなって、周辺からは残念がる声もちらほら聞こえた。
ほかに7月の記念日としては男女平等権法令記念日(30日)があり、この日と3・8国際婦女デー、母の日には男性が女性にランチをごちそうするのが通例だそうだ。後者2つはさておき、平等権の日なら割り勘にすべきだと思う。ちなみに婦女デーは女性だけが半ドンだ。
「本社が6連休もしているのに、私たちも何か楽しいことをしないとね!」と、Yさんと2人、ささやかな夏の休日を過ごそうと思っている。
皆さん、良い夏休みを。(淑)