無償化問題、広島も国を提訴
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「高校無償化」から朝鮮高校が除外されている問題で、大阪、愛知に続き広島でも1日、朝鮮学園側が国を相手取って広島地裁に訴訟を起こしました。(写真提供=広島朝鮮学園)
原告には、広島朝鮮学園とともに、広島朝鮮初中高級学校の卒業生と現役の朝高生ら110人が名を連ねています。
取材にあたった朝鮮新報によると、広島朝鮮学園は、「拉致問題の進展がない」「国民の理解が得られない」などの理由で、日本政府が朝鮮高校指定の根拠となる条文を削除したことは違法であり、これは民族教育を受ける権利を含む学習権の侵害、朝鮮学校と生徒に対する差別だとしています。
そのうえで、①広島朝鮮学園に対する就学支援金不支給の決定を取り消すとともに、②同学園を法律施行規則の規定に基づき「高校無償化」の対象として指定すること、③元・現生徒たちの学習権を侵害し、精神的苦痛を強いた慰謝料の支給を求めています。
110人もの原告が裁判に立つのは民族教育史上初めてことです。弁護団には、26人が名を連ねています。
進学や就職の不安を乗り越え、原告として名乗りをあげた現役朝高生や卒業生の思いはどんなものだったのでしょうか。
「支給対象となっている当事者は私たち。だからこそ街頭宣伝や署名活動などできることはやってきた。だけどいつまでたっても結果が見えない。これ以上、どうすればいいのかもわからない。法廷闘争によって、前進できる機会が与えられるなら、自分が立ち上がらなければと思った」(高3男子生徒)
「最初に裁判の話を聞いたときは正直動揺した。差別が横行する日本という国で裁判に関わって今後の就職や進学で何かあったら、という不安はある。両親もすごく心配していたけれど、これはお金のための裁判ではない。もし就職で差別をされたとしたら、そんな会社に入りたいとも思わないと決心を固めた」(高3女子生徒)
高校無償化からの朝鮮学校排除を正す裁判は今年1月24日、大阪と愛知で始まりました。
大阪の訴訟は朝鮮高校を無償化の対象に指定することを求める「義務付け訴訟」で大阪朝鮮学園が原告。愛知の訴訟は、制度除外に対する慰謝料を求めており、朝高生(当時)と卒業生が原告になりました。広島の訴訟は朝鮮学園側と生徒の両者が原告になっています。
本来は外国人学校生徒にも適用されるべき高校無償化。安倍政権は、朝鮮高校を永久に排除するため、施行規則をも改悪しました。朝高排除から4年目の夏を迎えた今、日本政府はまったく是正の動きを見せていませんが、泣き寝入りするわけには行きません。
広島では県と市の補助金が停止されるという事態も起きています。7月22日には同胞と日本市民が集めた補助金復活を求める2万6038筆の署名が広島県と市に提出されました。
原爆投下の日から68年を迎えた8月6日には、朝鮮学校への差別是正を求めるキャンドルデモも行われました。
全国の皆さん、広島にエールを!!!(瑛)