「総選挙」よりも沖縄戦のドキュメンタリー映画を
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先日、「ぬちがふぅ(命果報)―玉砕場からの証言―」というドキュメンタリー映画の完成試写会に行ってきた。
「鉄の雨が降る」と言われ約20万人が犠牲となった太平洋戦争末期の沖縄戦。この映画は、沖縄の慶良間諸島などで住民たちに強いられた玉砕の悲劇、朝鮮半島から連行され沖縄の地で虐殺された朝鮮人軍属や「慰安婦」たちの実態を、20人に及ぶ沖縄・韓国の生存者の証言によって明らかにしている。
監督は朴壽南さん。23年前から現地で証言を採取し続けてきた。
47年ぶりに阿嘉島を訪れ証言する朝鮮人元軍属たち
132分の上映時間の間、じっと座っていることが困難だった。上映中、常に自分自身に様々なことが突きつけられ問われ続けているようだった。証言者が語る事実の重みにただただ圧倒され続けた。そんな作品だった。
米軍上陸を前に日本軍によって下される玉砕の命令。沖縄の各地で、住民に手榴弾が渡され青酸カリが飲まされる。そして、爆弾を背負い米軍戦車に体当たりするよう命令される。証言するのはそんな中から奇跡的に助かった人たちだ。愛する我が子を自らの手で殺さなければならなかったという証言に心がつぶされそうになる。
映画の解説によると、渡嘉敷島では330人、座間味島では178人、慶良間島では人口の半数が玉砕で犠牲になり、阿嘉島では日本軍によるスパイ容疑による虐殺や飢餓で多くの住民が犠牲になったという。首を胴体から切り離され虐殺された人もいた。
映画が告発するのは、それらの犯罪が「天皇の軍隊」によってなされ、犯罪を起こした構造が今も存在し続けているということだ。そして現在なお多くの人たちが知らないうちに「加害者」となり沖縄の人たちを抑圧していることを知るべきであろう。
映画の後半、軍による玉砕命令を否定するいわゆる「大江・岩波裁判」(2006年)についても触れられる。先週のこのブログで、日本軍「慰安婦」の写真展がレイシストたちの攻撃によって中止に追い込まれようとしているということを書いたが、「犯罪を起こした構造が今も存在し続けている」ということにとどまらず、そういった勢力からの攻撃がどんどん強くなっていることがわかる。「日の丸」や「君が代」を強制することが当たり前になっている日本の現状に絶望的にすらなる。いつまで被害者たちを苦しめ続けるのか、傷口に塩を塗り続けるのだろうか。
試写会が終わって監督の朴さんに話を聞くと、この映画を特に若い人たちに観てもらいたいと言いながら、「日本の若い世代も若い世代の同胞の多くも本当の歴史を教えられていません。歴史を奪われている状況です。この映画を観ることで歴史を共有してもらえれば」と語ってくれた。
私は、日本の侵略や植民地支配、強制連行や日本軍「慰安婦」などを否定する人たち、排外的な言動を行う人たちにぜひ観てもらいたいと思った。もちろん若い人たちにも(石原知事、橋下市長、片山議員などにも)。
朴さんたちスタッフは、いろんなところで自主上映を開いてほしいと語っていた。高校や大学などを中心に上映会を開いてはどうだろうか。
今日は「総選挙」らしいが、日本社会はそんなことにうつつを抜かさず、このような作品と作品を作った人々のことを、もっと注目してもらいたい。必ず「観なければならない」映画だと思った。(k)
現在、決まっている上映予定です。
①6月23日(土) 14:00開場、14:20開始/明治大学和泉キャンパス第一校舎403教室。沖縄戦慰霊の日特別上映会、監督講演
②8月25日(土) 18:30/茅ケ崎市民文化会館小ホール
③8月26日(日) 午後/新横浜スペース・オルタ
※「午後」となっているのは、まだ正確な時間が決まっていません。お問い合わせください。その他、試写会などの申し込み、問い合わせは「アリランのうた製作委員会」まで。 nutigafu@gmail.com 090・6867・3843(朴)
「ぬちがふぅ(命果報)―玉砕場からの証言―」のホームページhttp://www.geocities.jp/k_nabeya/m_park/leaflet-01.html
ニコンの慰安婦展中止について
よそのブログのコメンターさんが書いていた「推理」なんですが、今回ニコンが展示会を開くにあたって多くの市民の抗議を受けたという事実を認めつつ、あくまで中止理由を明確に述べないのは、「もっと上」からの圧力を受けたからでは、とのことでした。すなわち、極右政治家たちが裏で動いているかもしれないということです。これが事実なら、安倍晋三元首相が指示したかの「NHK女性国際戦犯法廷ドキュメンタリー改変事件」とまったく同じ構図になってきますね。自民党と民主党の慰安婦否定派政治家らの活動はいま大変活発なようですから、あながち考えすぎとも言えないかもしれません。
ついでに
AKBの「総選挙」…これも秋元某と広告代理店の手のひらで踊らされてるだけの、くっっっっっっっだらないイベントなんですがね。
総選挙(笑)
あんなくだらないアイドルグループの総選挙とか、日本人の僕からしてもどーでもいいです。震災やら復興やらで大変なこのご時世に、ジャリアイドル娘の人気順位を決めるとか、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。それよりも、もっとやるべきことあるんじゃない?総選挙などやってないで、コンサートの収益を被災地の人に回すなり、総選挙(笑)に行くより、こういう意味ある映画を見るべき。慰安婦のオモニが、今の日本人の、くだらないアイドルグループに浮かれている姿を見たら、どう思うでしょうか。沖縄の玉砕で亡くなった人が見たら、悲しむでしょうね。自分たちをおざなりにして、女の子の可愛さを競う選挙なんてやっているのか!と。今のこの日本人の浮かれた状況が、少しでも変わればな、と思います。
kimさまへ
kimさま、コメントありがとうございます。
確かに「もっと上から」の圧力というのは可能性のないことではないですね。とにかく、大小様々な攻撃があり、ニコンがそれに屈したということで、もっと逆の世論を盛り上げていくことが必要です。
ポチョンボ電子楽団大好きさまへ
いつも、コメントありがとうございます。
私自身は、総選挙に何の感情ももっていません。もっと大事なことに目を向けてほしいと思っているだけです。
ズシンと来ました。
私は秋田県に住んでいます。
秋田でも見る機会があればとせつに思いました。
生きて証言してしてくださる方がいてこそ歴史が生きる。
証言なさった皆さんを誇りに思います。
私は縁あって日本の軍事歴史に興味があり、痛ましい民間犠牲や強制連行された方々のことを勉強しました。
正直言って、周囲には同じようなことに興味を持つ人は全くいない状態です。
これは日本にとって恥ずべきことだと思うときもあります。
話は変わりますが去年読んだ大震災の本に、「震災後ようやく避難所にテレビが付いたので見に行くと、テレビでは○○○の総選挙がやっていた。世の中はこんな生活をしていたのかと腹がたった」という文を読みました。
大震災でさえそのように扱われているのです。半世紀前の戦争なら・・・・。
その事実がとても悲しい。
全員がそれを理解しろとは思いませんが、二度と起こらないように考える意識は持って欲しいと思います。
長文失礼いたします。もしお気に触られましたら、お許し下さい。
いのちあらばこそ
「ぬちがふぅ」制作スタッフです。ありがとうございました。私は3世として周りの日本の人たちから、そして同胞に観てもらいたいと切に願います。知らないということが、互いの理解を遠ざけます。知る機会は国家に操作され、私たちはもう、真実を自分でえて、行くしかないと思うのです。
沖縄の人たちの多くがアリランのうたを完璧にうたうのは、まぎれもない軍属や慰安婦たちの犠牲の証です。
秋田でもぜひ、希望にそえるようがんばるので、やりませんか?ちなみに秋田県ではたった4人しかいないという韓国語通訳案内士の資格をとったという希有な日本の友人がいます^^それから明大はリバティではなく和泉キャンパスでの上映になりました。詳しくはhpを参照下さい。
maiさまへ
maiさま、コメントありがとうございます。
私も沖縄の人たちが「アリラン」を朝鮮語で歌うのを見て、驚きました。これからの上映会、一人でも多くの人が観るよう願っています。お知らせしていただければ、随時宣伝します。