出張月記 Vol.4 関西(名古屋)→茨城で締め括る怒涛の10日間
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今日は10月の最終日、もう明日から11月が始まる。
久しぶりとなる「出張月記」は、9月の長期出張について書こうと思う。

京都滋賀の合同修学旅行
今年は、朝鮮新報の創刊から80年を迎える年であるため、会社的なイベントも重なり、いつにも増して多忙な日々を送っている。9月の出張もそうした社の周年関連の取材と、雑誌の取材とを兼ねて、関西は兵庫、大阪、京都からの広島、そして出張明け翌日に茨城まで、怒涛の10日間を送った。(厳密には、関西滞在期間に1日、名古屋出張も挟んでいる)

広島で訪ねた横川シネマ。館内は落ち着いた雰囲気で、非日常を味わうにはもってこいの場所だった。
今回の出張をまとめてみると、改めて忙しない日程だったことを自覚した。
- 16日 移動
- 17日 新報創刊記念インタビュー(兵庫・宝塚委員長)
- 18日 京都・滋賀初級学校修学旅行に一日密着
- 19日 新報創刊記念インタビュー(大阪中高)
- 20日 お店紹介(京都「コンジュキンパ」)
- 21日 前日のお店で撮影→広島移動
- 22日 映画紹介(広島・横川シネマ)
- 23日 中四国合同部活動(ピンナラ、舞踊部)に一日密着→東京移動
- 25日 合同の取り組みに関するインタビュー(茨城初中高校長)
どれも充実した取材だったが、印象深かったことを記したい。
まずは新報創刊記念インタビュー。部署移動後、新報との関わりは当然減ったのだが、今回は同世代の同僚と取材を共にできたことが率直にうれしかった。

記念動画に出演してくれた大阪中高の生徒たち
いまでも取材前は決まって緊張するし、取材中も予想外のことが起きると動揺する。けれど同僚が撮影記者として共にしてくれたことで、心の余裕を持ってインタビューに臨めた。なんならスムーズに取材も進んだ。やはり個の力はチームワークには敵わないと思った。
一方で、支部委員長が運転する新聞配達の車に乗り、一軒一軒同胞宅を回ったのだが、たまたま読者に会えた時は、自分たちがつくったものが、こうして読み手に届けられるのだと、肌身で感じることができた。ありきたりな言葉かもしれないが、たくさんの人々の手でつくられている、それが新報であり、イオなんだと改めて実感させられた。また読者たちを常に想像しながら、新聞や雑誌をつくらなくてはならないと、原点に立ち返らせてもらう経験だった。

京都の「コンジュキンパ」で取材させてもらった際に出してもらったカルビ丼。見てのとおり腹の足しにもなるボリューム感。何よりめちゃくちゃ美味しい。

京都・北白川を訪ねた際はぜひ「コンジュキンパ」へ!
次に11月号の特集「朝鮮学校の合同教育」に関する取材たち。京都滋賀の修学旅行は、ビジュアルページ用の取材だったため、残念ながら紹介できなかったコメントが多い。そのため誌面では紹介できなかった教員たちの声を紹介しようと思う。

京都滋賀合同修学旅行では名古屋朝鮮初級学校も訪問し同校の児童たちと交流した
京都朝鮮初級学校に勤める曺元実さん(31)は、養護教員として合同修学旅行に帯同した。「中高級部となるとすでに人間関係も築かれている場合もあり、人数も急に増えるため、少人数学校の子どもたちが、進学後に不安感を覚える。私自身もそうだった」。岐阜朝鮮初中級学校から愛知朝鮮中高級学校へ進学した当時を思い起こし、胸中を語った曺さん。そんなかのじょが見るに、今回のような初級部課程からの合同の取り組みを積み重ねることで、「その不安はある程度は軽減されるはず」だと話した。
「実際に近年の合同の取り組みを通じて、児童たちは、お互いにないものを自然と探し合い、学び合うので、交流後の各学校での生活に変化が出てくる。(合同の取り組みが)自分を省みる機会になっているのではないか」(曺さん)。

旅行中は組別で行動。写真は一日目の感想や明日の目標などを各自がノートに記している様子
同じく京都初級に勤めながら、6年生を受け持つ南政岐さん(42)によると、今回の合同修学旅行に際し、児童たちは1学期にzoom上で交流、2学期に入り対面で「事前交流会と学習」を行うなど、準備を重ね当日を迎えたという。
「児童たち自身が自分の同世代を知り、この子たちと学びたいと交流するようになったし、保護者たちの中でもそうした雰囲気が自然と築かれているように思う。これは伝統的にやってきた学区間交流の影響が大きい」(南さん)

広島と岡山の生徒たちが共に舞踊練習に励む。
合同修学旅行の数日後、広島での合同部活動の現場に密着した後、25日の茨城朝鮮初中高級学校校長へのインタビューに臨んだ。インタビューを終え、同校に教員として長年勤めている同級生たちとも話したのだが、その際、皆が口を揃えるように同じような言葉を発していた。

「大事なのは、未来につながる経験をいかに子どもたちにさせてあげるか。かれらが卒業後も学生時代の経験を特別なものとして記憶するかだ。共有した対象が多ければ多いほど、民族教育の魅力は広くシェアされ『ウリハッキョだから送りたい』という対象を増やしていけると考えている」

合同となると、移動だけでもたくさんの労力を使い、財政を割く。決して見過ごせない課題だ。一方でこの取り組みを通じて「何が生まれているか」に目を向けると、民族教育のポジティブな要素が見えてくる。取材中も民族教育を再発見するような感覚を覚えたし、心温まる瞬間も一度や二度じゃなかった。

伝統ある中四国ピンナラ(広島、岡山、四国合同)の中級部サッカー部の生徒たちは広島朝鮮初中高級学校で合同練習を行なった

そして強く感じたのは、これらをいかに体系的にアップデートしていくかで、「生まれるもの」が2倍にも10倍にも膨らむということ。効果的な体系化を検討・実施する時期にきていることを現場が教えてくれた。
そんなこんなで無事に〆切を終え、すでに今年最後となる12月号の制作に突入している。10月は行事続きだったので出張がないまま終わるかと思ったが、人生そんな甘くなかった(笑)。
◇
たくさんの学びを得た前回出張につづき、今回はどんな出会いと経験が待っているのか。友人に言われてハッとさせられた言葉がある。「人生は有限」。そう、人の生はいつか終わりがくる。だからこそ、一つひとつの出会いや経験を大切に、どんな時も楽しむ精神を忘れずに過ごしたい。(賢)








