朝鮮と日本の「国交」が結ばれる日を願う
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数日前、朝鮮民主主義人民共和国の平安南道に暮らす伯母から日本の母に電話があった。なんでも叔父が病気で倒れ、大事には至らなかったが、日本にいる103歳の祖母が「元気なのか」をしきりに気にしていると、夫の焦りを代弁していたそうだ。朝鮮からの電話は本当に久しぶりだった。
こういうときに、「近くて遠い国」の状態が、戦後80年、続いていると実感する。なぜ断交の状態が改善されないのだろうかと悔しく思う。
日本と朝鮮は一番近い国だけれど、いまだ国交が結ばれていないばかりか、日本は朝鮮を国家としてすら承認していない。日本が過去に植民地支配をした国で唯一戦後処理がなされていない国が朝鮮。こんなに近いのに、それをどうにかしなければという声も決して大きくはならない現実が私たちを取りまいている。
自身の両親やきょうだいが朝鮮に帰国している1世、2世たちは、一向に改善されない朝・日の関係にどれほど胸を痛めているだろうか。今まで何度か訪れた「両国の関係改善の兆し」にどれほどの希望を託してきたのだろうか。
両国の国交が結ばれていれば、2010年に始まった高校無償化制度から在日コリアンの子どもたちが除外されることもなかっただろうし、大国のエゴにより家族親戚が離散を余儀なくされた同胞たちは、愛するわが子やきょうだいの顔を見られない寂しさを抱えることなく、穏やかな老後を送ることができただろう。私も2世の母を、伯父家族が一生を過ごした朝鮮に一日も早く連れていき、姪っ子に会わせたいと思う肉親の一人だ。
両国の間に船が行き来し、飛行機が飛び、日韓のようにいつでも行き来できる日が来ればどんなにいいだろう…。なにより国交正常化は植民地支配をした日本側から提起されなければならない―。この当たり前のことが広く共有される日が来れば、と思う。
今週9月27日(土)13時から、都内の日本教育会館でシンポジウム「日朝ピョンヤン宣言から23年 国交正常化の進展を求めて」が行われる。パネリストは和田春樹・東京大学名誉教授、李柄輝・朝鮮大学校教授、乗松聡子さん(ピース・フィロソフィー・センター代表)。
和田先生は9月5日に『日韓条約 60年後の真実 韓国併合とは何だったのか』(岩波ブックレット)を出版され、植民地支配の清算と日朝国交正常化の推進を強く主張された。1938年生まれの和田さんが日本と朝鮮半島の平和にかける思いや、朝・日問題の現在地を探っていただきたい。
主催は日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク。オンラインでも視聴可能だ。(瑛)