学童スタッフに挑戦
広告
現在、朝鮮学校は夏休み。居住している地域の朝鮮学校では夏季学童が行われている。女性同盟に加入している同胞やオモニたちのなかで都合のつく人がスタッフを務め、教員と一緒に学童の進行を担当するのだ。
各日午前の部・午後の部があり、午前は夏休みの宿題のお手伝い、午後はレクリエーションをする。少し前、女盟委員長から「空いている日があったら手伝って!」と連絡を受け、私も午後の部のスタッフとして学童を受け持つことになった。
受けたはいいものの、学童のスタッフは初めてだったので、当初はただその場にいて子どもたちの様子を見ていればいいのだろうと思っていた。しかし、前日の夕方に女盟委員長からLINEが。
委員長「午後はレクリエーションなのでよろしくね」
私「レクリエーションが何をやるのかは分かりませんが了解です!」
委員長「あなたが考えるの」
あれ?
委員長「担当者が考える」
頭が真っ白。行けば何とかなるでしょと思って詳しく聞いてなかった私が悪いのか。トランプとか椅子取りゲームなど、なんでも喜ぶよとフォローを入れられたが、なんだか提案されたものをそのままするのもどうだろう…と変なこだわりが出てきてしまった。
しばし悩んだ結果、「割り箸ゴム鉄砲はどうだろう」とひらめいた。以前、仕事で知り合った方が趣味で割り箸ゴム鉄砲を作っているという話を急に思い出したのだった。その方は割り箸ゴム鉄砲の教本を自費出版もしている。しかし、本を探してみると「160連射ガドリング砲」など難易度が高いものばかりで笑ってしまった。こんなの私も作れない。
そこで、YouTubeで一番簡単な割り箸ゴム鉄砲の作り方を探した。割り箸2本と輪ゴムがあれば数分で完成する。さっそく家に帰って作ってみるとスムーズにできた。これでひとまず安心だ。
翌日、参加した児童は初級部1~3年生までの計8人。まずはみんなで割り箸ゴム鉄砲を作り、小さく切った画用紙に絵を描いて的にして、残った時間で射的ゲームをした。絵を描くのが好きで、射的よりも的作りに励む子などもおり、30個以上の的が完成。描かれた絵も、果物だったりモンスターだったりドラゴンだったり何かの概念だったり、ユニークかつ色とりどりでかわいらしかった。
一方、進行する上でいちばん気をつけたのが怪我。実際に使ってみると、意外と勢いよく輪ゴムが飛んでいく。輪ゴムが目に入ったり、万が一ふざけて輪ゴムを向けられた人が転んで頭を打ってしまったりと、何が起こるか分からない。そのため何度も「トンム(友達)が前にいるときは絶対に輪ゴムを離したらダメだよ」と強調した。
すると次第に「前通るからちょっと待って~」「はい、みんなちょっと待って!」「人に向けたらだめだよ」など児童ら自身が声をかけ合って過ごすようになった。普段、まとまった人数の子どもたちと接することがないので、こんなに協調性や思いやりがあるものなんだなと少し驚いた。
楽しんでくれるだろうかとどきどきだったが、それなりに賑やかな教室を見渡してようやくほっとした。(理)