出張月記 Vol.1 関西
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駅ホームの向こう側にみえる「四日市朝鮮初中級学校」の看板。看板に近いホームからの写真を撮りそびれてしまった。
編集部にきて3カ月、忙しなく過ぎていく日々に、日にちや曜日を忘れることがあるのだが、それこそ昨日、ブログ担当日が7月1日であることを思い出し、今日から7月なのだと把握した。
雑誌のルーティンに慣れたかといえば、そんなワケもなく、必死に食らいつく毎日。そんななかで力をくれるのは、やはり取材先での貴重な出会いたちである。これは記者1年目の時も、11年目の今も変わりない。
というわけで、今後も毎月あるであろう出張について、日記ならぬ「月記」を月1ペースでまとめてみようと思う。
先月の出張先は関西地方。6月下旬から三重、京都、大阪の各地をまわった。
三重では、今年3月の総会で再建された朝青鈴鹿支部の委員長に会うため、四日市朝鮮初中級学校で行われた地域の総聯結成記念行事(22日)を訪ねた。
四日市ハッキョへの訪問は初。初めて行く場所は何年目になっても胸が高鳴る。
べたな表現だが最も感動したのは、学校へ向かう電車の中で車窓から景色をみていた時、最寄り駅ホームのすぐ向こう側に「四日市朝鮮初中級学校」の大きなオレンジの看板がみえたこと。日本の学校の看板や垂れ幕はあっても、朝鮮学校の看板を車窓から目の当たりにするのは初の経験で、この日迎えてくれた同胞たちの温かさも相まって、帰りのホームで看板が見えた時は、なぜか涙が出そうになった。
京都では、8月号の特集で紹介する女性同盟京都・南支部委員長に会いに、南支部会館を訪ねた。JR京都駅から少し歩くからと、わざわざ女性同盟本部の副委員長が車で迎えにきてくれた。度々お世話になっている副委員長に取材協力への謝意を伝えると、「どういたしまして」の言葉と一緒にコロッケを手渡してくれた。「この辺で人気のコロッケで中々食べられないから」と。夕方の取材だったからだろう。この日取材した南の委員長も、取材中おなかが空くからとたこ焼きを買ってきてくれ、帰りにはお土産も持たせてくれた。初見でも毎日見る仲でも、関係なく気遣いができるかのじょたちをみて、純粋に自分もそんな人でありたいと思った。
大阪では、関西万博の取材と、今春から新校舎で学校生活を送る大阪中高の生徒たちを取材した。各地の朝高に通う生徒たちの青春を追うルポ&グラビア企画「アオハル~朝鮮高校青春記」。この連載の最終回で紹介することになる、同校高級部2年の生徒たちに3日間密着した。朝から夜まで一緒に過ごした生徒たちのいろんな表情、思いに接しながら、書きたいことがたくさんあるが、紹介は9月号なので、ネタバレを避けるためにも後日また書こうと思う。が、一点だけ。筆者が訪問した週は、いつになく忙しい週で、生徒たちは授業と部活動に加え毎日イベントごとをこなしていた。
そんな目まぐるしい日々を送っていたにもかかわらず、取材最終日、記者との記念撮影の場を設けてくれた(2クラスのうち、一方のクラスは朝大実習生も最終日ということもあり、本当に撮る時間がなかったのが心残り)。撮影の際、「イオ(IO)ポーズで撮りましょう!」といってその場を盛り上げる生徒たちの姿はとても微笑ましく、最後は互いに別れを惜しむほど濃厚な3日間だった。もちろん仕事なので疲労は伴うが、取材期間は私にとって、〆切まで走りきるための充電期間ともいえる。
さて、この間に受け取ったたくさんの思いや声たちを、雑誌で形にするのが本業な私たち。今月も気合入れるぞ!(賢)