「大きくそだて みんなの木」@第24回極美展
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東京・上野の東京都美術館で開かれた第24回極美展(9月28日~10月5日)に行ってきた。
一番見たかったのは、この絵。「大きくそだて みんなの木」のタイトルのもとに、壁一杯に広がっていたのは、朝鮮半島の南北、日本、中国・延吉の子どもたちの絵とメッセージ!圧巻だった。
朝鮮学校の美術教員たちが運営してきた「在日朝鮮学生美術展―東京展」は2001年から、韓国で平和統一教育を実践しているNGO「オリニオッケドンム」と日本のNGO「南北コリアと日本のともだち展」とともに、朝鮮半島の南北、日本に暮らす子どもたちの絵の交流を進めてきた。
17年度は、葉っぱをかたどった紙に自己紹介をしあう共同制作を行ったという。一枚一枚のメッセージを読んでいると、現地での暮らしぶりや、まだ会えずにいる子どもたち同士が、お互いを思い慮る姿が目に浮かぶようで、胸が熱くなった。10年以上、この展示を見させてもらっているが、地道な交流をつなげてきた人たちの努力には、いつも頭が下がる。
朝鮮学校生は、北と南を訪問し、現地での共同制作で独自の役割を果たしてきたものの、朝鮮半島情勢の緊張により、07年を最後にソウル訪問は中断。日本の小学生の訪朝も数回に留まっている。10年以上の断絶の月日。それを繋いできたのが絵の交流だった。
今年に入り、朝鮮半島の平和作りに向けた大きな歩みが始まったが、一般の人たち、何より「祖国分断」のなかで生きてきた子どもたちに、「統一」を実感できる体験をもっともっと増やしてあげたい。そんな思いをかき立ててくれた展示だった。
極美展は、「自由闊達なる表現によって、具象、非具象にとらわれることなく、独創性を高め、新鮮な芸術を極めようとする人材の開発と新人の育成を目的とし、その成果を世に発信し、芸術文化の発展に寄与するとともに、アジア諸国の芸術家との交流を追求するという趣旨」で一般公募されている。今回も、在日同胞画家たちが多くが出展していて、見ごたえがあった。
「歓喜・2018.4.27―民族の春」(朴正文さん)が外務大臣賞・叙々苑賞、
「済州道 トルタン」(夫正鵬さん)がモンゴル大使館賞、
「街風景」(金任鎬さん)が極美審査員特別賞、
「月と日、時を越えて」(金聖蘭さん)が極美審査員賞、
「双鉢鼓舞」(姜俊成さん)が東京クロス賞、
「舞踏―暖かな雪につつまれて」(張留美さん)がアートジャーネル社賞を、
それぞれ受賞する活躍ぶり。
御世話になっている方々の作品が日本の展示会で評価されたことも嬉しかった。(瑛)