およそ20年前の私
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まだ私が小学校にも上がる前のこと。わが家に2人のおじさんがやってきました。私が生まれる前に亡くなったハラボジの、弟とその息子さんでした。韓国から親戚が訪ねて来るのは滅多にないことなので、きっとハラボジの何周忌かの祭祀だったのでしょう。
まだウリマルがわからなかった私は、笑いながら話しかけてくれる2人に言葉ひとつ返すことができません。しかしどうにか意思疎通を図ろうと、一本のビデオテープを引っ張り出してきました。それは総聯映画製作所が出した映像資料だったのです。
その時は、国が北と南に分かれているなんてもちろん知りません。「2人の言葉の意味はわからないけど、どんな言葉かっていうのはわかるんだよ。ほら、同じでしょ」。ただそんなようなことを伝えたかったのでしょう。言葉の代わりにビデオを見せればきっと喜んでくれると思って。
大学の時になぜだかこの出来事を思い出して、「小さな統一」というタイトルで随筆作品にしました。結局は統一どころか、小さなハプニングで終わってしまったのですが。おじさんたちからしたら、ちょっとしたテロのようなものですね。
イオ8月号の特集は「統一はロマン? ~70年の節目に」(仮)です。民族の解放と同時に、北と南に分断されて70年。分断の痛み、そして統一への希望ともどかしさを肌で感じてきた世代から、統一への意識が薄れているといわれる世代まで、統一について改めて考える内容になっています。自分にとっての祖国統一ってなんだろう、私も今回の特集を通して探ってみたいです。(理)