vol.41 生身の人間と向き合う“思想” 田中宏の「譲れぬ一線」
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人と会って話をきく、その人の「生き方」や「思想」を教えてもらって文章を書いて来た。だから「師」というべき人は各地にいる。その一人が田中宏さんだ。84歳を迎えた直後の2月13日、川崎市の多文化交流施設「川崎市ふれあい館」で、講演会を共にする機会を得た。半世紀を超える彼の人権闘争史をインタビューした『「共生」を求めて』の出版に因んだ集まりで、私の役回りは聴き取りと出版に込めた思いを語ることだった。
初めてお会いしたのは私が新聞記者だった1990年代末。大工の棟梁のような風貌とベランメエな口調、一方でとてもシャイなのである。彼は2000年に一橋大を定年退官し龍谷大学へ赴任。私も同年、京都支局に異動となり、彼の闘いの場でその謦咳に触れて来た(…続きは月刊イオ5月号に掲載)。
写真:中山和弘
なかむら・いるそん●1969年、大阪府生まれ。立命館大学卒業。1995年毎日新聞社に入社。現在フリー。著書に「声を刻む 在日無年金訴訟をめぐる人々」(インパクト出版会)、「ルポ 京都朝鮮学校襲撃事件――〈ヘイトクライム〉に抗して」(岩波書店)、「ルポ思想としての朝鮮籍」(岩波書店)などがある。『ヒューマンライツ』(部落解放・人権研究所)の「映画を通して考える『もう一つの世界』」を連載中。