原発震災の中で
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福島朝鮮学校の子どもたち
東京電力福島第一原発の過酷事故から2年が過ぎて少しずつだが事実が明らかになってきている。それでも、半減期2万4千年という途方もない長さで放射線を発し続けるプルトニウムまで漏出しているのだから、わかったことなど無いに等しいのかもしれない。だからだろう、誰もがわからないことへの不安から、自分の置かれた状況の必要に応じていろいろ調べるのだが、満足のいく答えを見つけあぐね、さらなる「模範回答」を求め続けた。しかし、今のところ放射能汚染に最善の対処法は見つかっていない。「逃げろ」という者があれば、「逃げられない」事情のある者もいる。放射能禍を恐れるより今日の暮らしを守るのが先だという者は「子どもを守らないのか」と批判する声も「浴びせられる」こともあるという。だからといって「逃げた」家族が平穏かといえば、そうとも言えず今日明日の不安の先にも、また子どもの将来の健康まで不安は尽きない。
豊田直巳(とよだ・なおみ)
フォトジャーナリスト。1956年静岡県生まれ。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)会員。2012年に本誌で「3・11 放射能の舞う大地で」を連載。原発震災関連の「フクシマ元年」(毎日新聞社)、「福島 原発震災のまち」(岩波書店)などの他、「戦争を止めたい フォトジャーナリストの見る世界」(岩波書店)、「『イラク戦争』の30日」(七つ森書館)など著書多数。ドキュメンタリー映画「遺言~原発さえなければ」が公開予定。