妻と息子とGDPと-あなたの幸せはどう決まりますか?
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康明逸●朝鮮大学校経営学部助教
第一子を出産後の妻の奮闘ぶりには驚かされる。仕事、育児、家事を万全にこなし、親戚・近所への気遣いも怠らず、ニョメン(女性同盟)の分会委員まで務めるのだ。自分自身のことはいつも後回しである。息子の2歳の誕生日を迎えながら、妻への労いの気持ちが溢れると同時に、仕事や付き合いにかまけてしまいがちな日常を顧みる日々である。 妻本人は案外と無頓着なのであるが、彼女の一日の活動の中で、仕事以外の部分が日本のGDP(国民総生産)に勘定されるようなことはない。GDPとは、国内における1年間の経済活動から新たに創出された価値を足し合わせたものであり、財・サービスの市場価格から計算される、一国の経済規模をあらわす最も代表的な経済指標である。炊事、洗濯、掃除、買い物のような家事や育児、介護や社会活動など、報酬を伴わない無償労働はその中に含まれないのだ。これは何も、その種の労働や担い手を蔑んでのことではない。家事や育児などの金銭的対価を伴わない労働は、その価値を市場価格から正確に算出することが困難であるため、計算項目から除外されているだけのことである。