パレスチナのこれ以上ない苦境を前にして
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ブログのきおくそうしつ(tmsigmund)
パレスチナ/イスラエル問題について発信しているブログ。発信者は、イスラエルの犯罪行為を告発し、日本人として何ができるかを考え行動する。http://d.hatena.ne.jp/tmsigmund/
わたしがパレスチナ/イスラエル問題にかかわりだしたのは、ごく最近のことです。関西で「パレスチナの平和を考える会」を中心に活動している人たちと知り合うようになった、2008年のことでした。
しかし、その年の瀬に恐ろしいことがおこりました。イスラエルによるガザ虐殺です。パレスチナのガザ地区は、その1年半前から人も物もほとんど出入りできないような完全な封鎖を強いられて、はなはだしい人権蹂躙の状態にあったのですが、暴虐はそのうえにかさねられたのでした。イスラエル軍による空爆や地上軍攻撃で、パレスチナ側は1400人以上が死亡、5000人以上が負傷、生活も建物も産業も徹底的に破壊をこうむりました。
「なんで、こんなことがこの世界で許されているのか?」そうした憤りにかられて、パレスチナのための抗議行動や学習会、イスラエルボイコットの取り組みに関わるようになりました。
つみ重ねられるパレスチナ人への不正義
略奪した土地に流入してきた狂信的な入植者が、オリーブの木をなぎ倒し、収穫物に火をつけ、通学中の子供をなぐりつけるのです。
現在も、ガザの人びとにたいしておこなわれた不正義は、正されることなく放置されたままです。それどころか、国際社会がイスラエルの犯罪をきちんと問わないせいで、いまだ懲罰的な空爆がおこなわれ、封鎖のため支援もとどかず、ガザはこれ以上ない苦境におかれています。
また、占領地のヨルダン川西岸や東エルサレムでも、毎日、一般のパレスチナ市民が胸を引き裂かれる苦しみに耐えています。イスラエル軍に家を破壊され、土地から乱暴に追いたてられ、不当に逮捕され、しばしば負傷させられ、ときに殺害されています。分離壁や検問による分断のため、経済活動は停滞せざるをえず、生活や仕事はままなりません。水源もイスラエルにうばわれていて、日々の飲み水さえ不足するような事態です。一方、略奪した土地に建設されるイスラエルの入植地はふえ続け、流入してきた狂信的な入植者が、オリーブの木をなぎ倒し、収穫物に火をつけ、通学中の子供をなぐりつけるのです。
しかしこうしたことは、今に始まったわけではありません。1948年にイスラエルがパレスチナの77%を占領して建国してから、60年以上ずっと続いているのです。そして年をへるごとにひどくなっています。イスラエルがパレスチナ全域を占領した1967年以降、パレスチナ人の諸権利の一部を放棄したようなオスロ合意が締結された1993年以降、「和平」プロセスが完全に破綻した2000年以降、どんどんないがしろにされる一方なのです。また、被占領地の人びとだけではなく、イスラエル領内のパレスチナ人も周辺アラブ諸国の難民キャンプにいるパレスチナ人も、同様に迫害と抑圧を受けたり、劣悪な環境での生活を強いられたりしています。
「抹殺」ではないのか?
「これはホロコースト?」「アパルトヘイトと同じ!」「民族浄化の定義と完全に一致」。わたしもそう思い、ときにそう主張します。
わたしはパレスチナ問題にかかわって間もないのですが、現在のパレスチナに対する世界のあり方を、とてつもなく異様に感じます。不当きわまりない破壊と差別の数々を、そのたびごとに野ざらしにして忘却するというのは、存在と歴史の「抹殺」というべきものではないでしょうか? こうして累進的につみ重ねられる「抹殺」は、なにによって可能なのでしょうか?
パレスチナ人の受けている悲劇と受難にたいして、歴史上おこなわれた「別の」非人道的な出来事と比較されることがあります。「これはホロコーストではないか?」「アパルトヘイトと同じだ!」「民族浄化の定義と完全に一致する」。わたしもそう思い、ときにそう主張します。でも、アナロジーでもって「そんなことは絶対あってはならない」と多くのひとが口にし、その非難に国際社会もある程度同調しながら、事実としては、平然とパレスチナの人びとの存在と歴史が「抹殺」されているのです。この異様な事態を理解可能なものとして説明することばを、わたしはいまだに持つことができません。
しかし「そうした『抹殺』こそ、日本が朝鮮への植民地支配を通じておこなったことなのではないか? そしてそれを今なお認めず反省しないことは、在日朝鮮人に対するさらなる『抹殺』を意味するのではないか?」とイオの読者から問われるかもしれません。確かに、最近の日本社会の朝鮮民主主義人民共和国や在日へのおぞましい差別と迫害を見すごして、また日本の過去の侵略を問題にすることなしに、日本でのパレスチナ支援もありえないと思います。日本人自身がなくせない人種(民族)差別が、パレスチナの「抹殺」に関わらないとは言えません。活動では、日本を筆頭に、欧米諸国家になお根深い人種差別を問題にしていく必要を感じつつあります。
イオ編集部より3つの質問Q1:ブログを始められた動機は? A:書評や文芸批評のようなものを書いていたのがきっかけ。今は、そうしたものからは遠ざかっている。 Q2:ブログを通して一貫して訴えたいことは? A:集会や学習会の案内を載せたり、Twitterで集めた情報を転送したりしているだけなので、むしろ活動のツールという感じ。 Q3:お薦めのブログがあれば紹介してください A:「boycottil」(イスラエルボイコットの動向を伝える良質のブログ) 「STOPMUJI」ツイッター(無印良品がイスラエルへ出店することに反対するTwitter) 「パレスチナの平和を考える会」ホームページ |