みんなを魅了した東京中高美術部展
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東京朝鮮中高級学校の美術部展「異-こと」が1月20日(火)から26日(月)にかけて、東京・池袋の東京芸術劇場アトリエイースト、ウエストで開催されました。
私が毎年楽しみにしている美術展です。今年で第20回を数えます。
この美術展は毎年、テーマが設定されています。今年のテーマは「異(こと)」。会場で配られたパンフレットにはテーマについて、感じ方や考え方はそれぞれ異なる、だからこそ人を面白く世界を美しくしているとしながら、「この展示では、私たちひとりひとりの〝ちがい〟をそのまま作品として具現化し、楽しむ場となれば良い」とし、互いに尊重していくための足掛かりになればいいと強調していました。
毎年、美術展はその規模を拡大しています。
今年、参加したアーティストは東京中高美術部の15人の部員の他に、愛知、四日市、西東京、茨城、埼玉の朝鮮学校の生徒たちが参加していました。また日本人が11人、朝鮮学校で英語を教えているというカナダ人も出品していました。アーティスト参加者が65人、作品数が72、延べ1276人の観客が集まりました。

醸成
数多い作品の中からここでは2つの作品を紹介します。
会場入り口に展示されていたのが東京中高高級部1年のチン・ミウさんの「醸成」という作品(写真)。フラミンゴを描いています。
絵の解説には次のように書かれています。
「フラミンゴの色は、その個体の歩みや、価値観が形成されてきた証そのものだ。周囲とは異なるその配色は、異端ではなく独自性の現われでもある。他の誰でもない、自分自身を吸収してきたからこそたどり着いた、唯一の色」
異国の地日本で、朝鮮学校という環境で育ってきた自分自身がどのように醸成されてきたのかを表現しているのではないかと思えました。

異星人との異文化交流会
二つ目は、東京中高高級部3年のリ・ジョンウさんの「異星人との異文化交流会」という作品。異星人が手を差し出しているところを表現した立体作品です(写真)。
解説には「遠い宇宙のどこか、人類の未到達領域から、得体のしれない異星人が時空の裂け目を通してこちらに手を差し出してきた!?」と書かれています。
アーティストトークの際ジョンウさんは、作品について「手にナイフを握れば凶器になるし握手すれば交流できる。それは人間の理性にゆだねられている」と説明してくれました。
この作品も圧倒的に日本人が多いこの社会で生活する一人の朝鮮人としての思いが十分に表現されているのではないでしょうか。
出品した日本人の一人、中川寿さん(56)に話を聞くことができました。
中川さんは昔から異文化に触れるのが好きで日本でエスニック料理を食べ歩くのが趣味だといいます。その食べ歩きを共にする友人の一人が東京中高美術部の顧問、崔誠圭先生で、7年ほど前からの知り合いです。美術展開催のためのクラウドファンディングに応援し5年前から作品を出すようになったそうです。
今年は海外旅行や食べ歩きの際に撮影した80枚ほどの写真を出品しました。
「最初は上から目線で、頑張ってねという感じで参加したが、生徒たちの作品の水準がすごかった。自分が頑張らなければと励ましを受けた。朝鮮学校の生徒たちは自由奔放に、何も恐れずに作品を作っている」と語ってくれました。
崔誠圭先生は、「生徒たちの年間を通しての活動で多くの人とのつながりが増えている。他の朝鮮学校からも参加したいと声があがった。日本人の作者は新しく7人ふえた。部展はテーマ設定からすべて生徒たち自身が決めて進めている」と語っています。
東京朝鮮中高級学校美術部の部展は、これからもますます拡大、活性化することが期待されます。(k)








