2025年ベスト映画をセレクト
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今年最後の國のブログとなった。最後は25年公開の映画の中で筆者が観て、印象に残った作品を5作ピックアップする。
①『ビーキーパー』(配給:クロックワークス、2024年製作、監督:デヴィッド・エアー)
ある養蜂家が弱者から金をだまし取る詐欺集団に全面から立ち向かう映画だ。主演はジェイソン・ステイサム。ここ数年でジェイソン・ステイサムの主演映画を何作か見ているが、どれも面白い。自分の恩人である女性が詐欺集団の標的となり、全財産が騙し取られたのを耳にしたアダム・グレイ(ジェイソン・ステイサム)がその詐欺グループの会社に乗り込み、会社を丸ごと爆破。その後、詐欺グループの首謀者をとことん追いかけていく。何よりも、ジェイソン・ステイサム演じるアダムの正義感に心が揺さぶられること間違いなしだ。
②『フロントライン』(配給:ワーナーブラザーズ、2025年製作、監督:関根光才)
イオの映画欄でも紹介した。2020年、横浜港に入港した「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内での新型コロナウイルスの集団感染に最前線で立ちむかった人々の姿を描いた映画だ。この報道を見た当時はニュースの情報以上のことは知らなかったが、本作を通じて当時のひっ迫した現場のようすや新型コロナウイルスの脅威を目の当たりにし、再確認する契機になった。まだ見ていない人はぜひ見てほしい。
③『ドライブ・イン・マンハッタン』(配給:東京テアトル、2023年製作、監督:クリスティ・ホール)
この映画がとても気になっていたが、公開当初は映画館で見られず、サブスクリプションでの鑑賞となった。驚いたのは、映画のほとんどのシーンはタクシーの車内だということ。夜のジョン・F・ケネディ空港でタクシーに乗ったある女性(ダコタ・ジョンソン)が向かう先はマンハッタン。タクシーを運転する男性(ショーン・ペン)は女性を乗せ、最初は気まずい感じになるが、次第に会話が弾み始め、ジョークまでいい合い、車内の雰囲気はよくなっていく。乗車した女性はプログラマーで自分が交際していた男性が既婚者だということを隠していたが、のちに運転手にそれがばれてしまう。一方で運転手は2度の結婚と幸せな生活を経験しながらも人生における失敗も経験する。お互いの人生経験を語り合うその姿に感動が止まらなくなる。人生を生きていくうえで困難なことや失敗したことがあった時にみてほしい作品だ。
④『ANORA アノーラ』(配給:ビターズ・エンド、2024年製作、監督:ショーン・ベイカー)
ニューヨークの街でストリップダンサーとして働くアニ―(マイキー・マディソン)はお金がなく、生活も厳しい。ある日、自分の職場にロシア人の御曹司・イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)が現れ、2人はやがて交際関係まで発展。アニ―は1万5000ドルの契約彼女として交際し、ショッピングなどを楽しむ。イヴァンは7日間しか、ニューヨークに滞在できず、7日後には母国のロシアへ帰ることになる。そして2人は交際そのままの勢いでラスベガスで結婚。しかし、イヴァンは結婚を先に両親に伝えておらず、事後報告してしまう。両親はこの結婚に激怒し、すぐに離婚するように迫る。またアニ―はイヴァンとは上流階級とそれ以下の階級という身分が違うということを突きつけられてしまう。2人は結果的にハッピーエンドで終われるのか。衝撃のラストは映画で見てほしい。親のお金で豪遊するイヴァンとストリップダンサーとして働くも貧しく、社会的地位が上がらないアニーの社会的な立場のギャップを痛感した。
⑤『ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男』(配給:アットエンタテインメント、2024年製作、監督・脚本:ヨアヒム・A・ラング)
この作品もイオの映画評で紹介した。1933年、ヒトラー政権が誕生した。ナチス・ドイツ政権(1933―1945)で国民宣伝、啓蒙省のトップとしてプロパガンダを主導したヨーゼフ・ゲッベルス(1897―1945)。国民の戦争参加、ユダヤ人大虐殺へと国民を仕向けたゲッベルスの恐るべきプロパガンダ戦略とその歴史的事実を目の当たりにする映画だ。映画の最後にホロコースト生存者が語る迫真のメッセージは私たちにこの作品の核心を届けてくれる。
ブラットピットが登場した『F1』などまだまだ紹介したい映画がたくさんあるが、今回はこの5作をピックアップした。映画は人々にさまざまなメッセージを与えてくれるものだと映画を見れば見るほど、体感している日々だ(国)。








