ホン・ヨンウ 小さな回顧展
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6月22日の日曜日、東京都板橋区にある東京朝鮮第3初級学校へ行ってきた。「ホン・ヨンウ 小さな回顧展」を観るためだ。
主催したのは「東京朝鮮第三初級学校とともに歩む会」。歩む会が今回の小さな回顧展を催すことになったのは、昨年8月20日から25日まで東京都の練馬区立美術館区民ギャラリーで開催された「ホン・ヨンウ回顧展『郷愁』」を観て感銘を受け、洪永佑さんとつながりが深い第3初級でも行いたいと考えたからだ。

絵画「市場」

絵画「唐辛子市」
学校の講堂で開かれた今回の小さな回顧展には「市場」など洪永佑さんの絵画9点を展示。民族性と民俗性あふれる一枚一枚に参加した人たちは見入っていた。
その他、韓国のポリ出版社などで出された絵本23冊、漫画本3冊が展示された。また図録やポストカード、カレンダーなども販売された。

絵本の数々
絵本の一つに朝鮮青年社から出版された『洪吉童』(日本語)とポリ出版社から出版された『홍길동(洪吉童)』(朝鮮語)が並べて置かれていた。
朝鮮青年社のものを手に取って最初から最後まで読む。圧倒的な画力と物語。絵本の後ろを見ると1982年発行となっている。私が社会に出て2年目の時だ。しっかりと最後まで読むのはそれ以来。

『洪吉童』
2時15分からは洪永佑さんの長女で第3初級職員の洪誠玉さんの「洪永佑が描いた民俗の世界―『郷愁』が照らすもの」と題するお話があった。
アボジがどのような人生を歩んできたのかが語られる。小学校・中学校もまともに通えなかったこと。それだけに16歳で上京後、勉学に励んだこと。朝鮮への帰国事業、韓国での4・19人民革命に接して民族に目覚めたこと……。

洪誠玉さんのお話
今回のお話はこれまで何度か聞いてきたものも多かったけれど、初めて聞く話もあり新鮮だった。
家には百科事典が置いてあり、子どもたちはアボジの貪欲に学ぶ姿勢を見て何かわからないことがあるとすぐに事典を引いていたそうだ。
最後に洪誠玉さんは、「アボジはコリアンルーツの子どもたちに民族を伝えることを願って創作活動をしていた」と語ってくれた。
こじんまりとした1日だけの、本当に小さな、そして充実した回顧展だった。(k)
※洪永佑さんが亡くなったのは2019年10月。
昨年8月の東京での開催に続き「ホン・ヨンウ回顧展『郷愁』」が愛知県で開かれます。愛知県は洪永佑さんが生まれた地。
日時:9月9日(火)~14日(日)
場所:名古屋市民ギャラリー栄 8階 第九展示室