特集「語ろう、在日コリアン1世」のデザインをしながら
広告
月刊イオ最新刊の特集は「語ろう、在日コリアン1世」です。
(特集リード)在日同胞社会も3世、4世が主体となり、1世は少なくなっています。心に残る在日1世との思い出やかれ・かのじょたちへの想いを、2世、3世たちに語ってもらいました。1世たちの生を記録してきた人びとにもフォーカスし、その活動の意義について考えます。
特集の中では、「食から見える1世の記憶」を書いてくださった金松伊さんの著書「낫짱이 간다」(2006年、ポリ出版)「낫짱은 할수 있어」(2008年、ポリ出版)の中の挿絵を大きく掲載させて頂きました。
イラストを描いてくださったのは、故・洪永佑さんです。
洪永佑さんの描くイラストはどれもとても魅力的で、今回掲載されているイラストも、当時の時代感がイラストから存分に醸し出されています。
洪永佑さんのイラストをまたこうして大きく掲載できる縁に恵まれたことが嬉しかったです。
今回特集デザインを組みながら、私は1世だったハルベ(祖父)をよく思い返していました。
1世で精力的に事業を興し、人生の全てを同胞社会の未来のため、祖国のために捧げたハルベでした。タンコギやドジョウ汁が好きで、豪快に食事をパパッと食べて、するべきことをこなし、規則正しく生活しながらも、朝鮮新報を熟読し、勉強をしながらも、仕事をたくさんしていた尊敬するハルベでした。一緒に食事をするたびに、植民地期の苦しかった幼少期のことや、10代で日本に渡ってきたことなど、たくさん話してくれました。当事者が話す物語はリアルで、あらゆる感情が伝わってきました。
しかし、私の子どもたちはそのハルベには会えません。だから私が伝えていかなければいけないのですが、うまく伝えられるか、心配です。幸い、ハルベが遺してくれた自叙伝があるので、ある程度成長したら読ませたいと大事に取ってあります。
ところどころに、1世の物語がある。
それでも、それらを伝え続けなければ、物語は途絶えてしまう。
今回の特集が、わずかでも、その一助になれればと願います。(愛)