春闘とストライキと当時の若者
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今年も春闘の季節となっている。私が若いころは、労働者がよくストライキをやっていた。国鉄(今はJRになった)や私鉄でもストをやって電車が運休するということもしばしばあった。鉄道会社だけでなく、多くの企業、職場でストは行われていた。
ストは労働者の正当な権利なのだから、どんどんやればいいと思う。でも今の日本で、ストで鉄道が動かないとなると、労働者を応援するより文句を言う人間がほとんどなのではないか。
権力者たちは総評を解体して労働者の運動をつぶしてきたわけで、それが今の日本社会の現状を作っている最も大きな理由だと思っている。今は春闘の話題もほとんどニュースで流れない。
ルポライターの鎌田慧さんの新聞のコラムで知ったのだが、「関西生コン事件」と呼ばれている事件があった。関西地区の生コンクリート業界の労働組合員たちがストライキや抗議行動をしただけで、89人が逮捕され71人が起訴されたという。鎌田さんはコラムの中で、「憲法や労働法があっても警察は威力業務妨害、恐喝未遂で逮捕、組合をやめろと迫る」と権力の弾圧を告発している。
「フォークの神様」と呼ばれていた岡林信康さん。デビュー当時(1968年、「山谷ブルース」でレコードデビュー)は差別や同和問題、反権力の歌をうたっていて、それらの作品はみんな好きだった。特に好きだったのは「チューリップのアップリケ」という歌だった。最近、ふとしたきっかけで聞くことになり、歌詞の内容にいろんな思いが沸き起こった。ぜひ、ネットで探して聴いてもらいたい。
岡林さんの一連の作品が、日本社会、特に若者の間で受け入れられていた時代がある。学生運動が盛んで、若者は権力者への不満、社会矛盾に対する怒りを行動で現わしていた。今の日本社会と比べると、考えられないほど若者の熱量は高かったと思う。岡林さんがデビューした時に20歳だった人たちは現在、70歳を超えているが、今の社会をどのように見てどう感じているのだろうか。そんなことも考えるのだ。
現在、新型コロナウイルスの問題で社会が混乱しているが、そういう状況の中で、労働者をはじめ人々の権利が抑圧されないことを願う。(k)