花(祖国訪問記7)
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平壌の街並みは変わらず美しい。この季節、街路樹は生い茂り、街全体を緑に染める。古くから柳京と呼ばれてきた平壌、車で市内を走ると、柳のカーテンが長く目に飛び込んでくる。
市の中心部を少し離れると、道の両側には田畑が広がる。日本の田舎道ではそれほど花を見ることはないが、朝鮮ではけっこう道に沿って花が咲いている。大城山から江東郡へ向かう道に、日本では見たことのない黄色い花が咲いていた。
人の手によって計画的に植えられている所もあるが、ほとんどが意識的に植えて手入れをしているという咲き方ではない。何ヶ所かに植えたものが自然に増えていったという感じの咲き方である。
案内の李さんに花の名前を聞くと、わからないという。運転手もわからない(朝鮮でも男性はあまり花に興味がないようである)。それで、道で作業をしていた女性に聞くと、「クムガンクッ」だと教えてくれた。朝鮮語の表記は、「クムガン」は金剛と同じ、「クッ」は「国」と同じだと言う。たぶん「金剛菊」という名前なのだと思われるが、合っているのかどうか、またこれが正式な名前なのかどうかもわからない。
とにかく、綺麗だったので、運転手にわざわざ車を止めてもらって撮影した。筆者も、日本にいるときは花に何の興味も示さない風情のない男性のひとりなので、もしかしたら「この花の名前も知らないのか」と笑われるほど一般的な花なのかもしれない。日本語では何という名前なのか日本に戻ったら調べてみようと思っている。(k)