1世たちの豚みそだれ
広告
2016年に結成された「知ろうよ!朝鮮学校、筑豊の会」。その後継団体として18年に発足した「筑豊地区朝鮮学校を支援する会」は、福岡・筑豊を拠点に、現在まで朝鮮学校への支援に力を注いでいる。
これまで活動を牽引してきた世代が引退し、昨年3月からは30~40代の若手を中心に会は営まれている。
先月、連載取材で、会の事務局長を訪ねた。新たな顔ぶれで始まった活動について、「いまは前代表たちがおこなってきた活動をなぞる形でやっています」と事務局長。
企画の第1回目が地元隣保館での「豚みそだれづくり」と聞いて、興味をそそられた。
「朝鮮の村に住んでいたばあちゃんと、部落のばあちゃんは、差別のおかしさについて共に勉強していました。共に闘う2人はつながりを深め、朝鮮の村のばあちゃんは、とっておきの豚料理に使う『タレ』の作り方を、部落のばあちゃんに伝えました」(チラシに書かれた宣伝文)
事務局長によると、企画当日は、会のメンバーやその友人、家族連れなど20人程が集まり、在日朝鮮人1世と部落の人びとの間で営まれた「豚みそだれづくり」の歴史について紙芝居を聞き、実際に皆でたれを作ったのだという。
会の最初の活動に、なぜこの企画を持ってきたのか。
そこには事務局長はじめ、事務局メンバーたちの交流への思い、会の活動への強い思いが詰まっていた。
「豚は朝鮮部落、みそは日本の部落、かつて在日朝鮮人と部落の人たちの交流からできた『豚みそ』だから、初回の企画にぴったりだと思って。熱心にやってきた人たちによって続いてきた活動だから絶やしちゃいけないと思うんです」(事務局長)。
言わずもがな、人が何かに惹かれたり、興味を持つきっかけとしての文化の役割は大きい。ある文化を知り、互いの文化を尊重する大事さも知る。素朴にいい企画だと思った。
(賢)