初の熊本で
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取材の合間を使い訪問した熊本城
特集の取材で昨日まで熊本にいたのだが、住み良い街とはこういう場所をいうのかと、初訪問にしてその魅力にみせられた。
昨日はJ2ロアッソ熊本の李泰河選手に会いにいくため、市内の中心街から同チームの拠点となる、えがお健康スタジアムへと向かった。スタジアムまでは約1時間バスに揺られ、下車後は徒歩で目的地を目指した(ちなみに、そこまでの道のりは小川と田んぼしかない長閑な一帯だ)。

いまお米が何かと話題だが、スタジアムまでの道に田んぼが広がっていた
無事に取材を終えた帰り道、バス停に到着してあることに気づく。来るときはまったく気づかなかったのだが、バス停の看板が一つしかないのだ。通常は、バスの進行方向にそれぞれあるものだが、とりあえず「帰りの進行方向ではないよな」と思いながらも、唯一あるスタジアム方面の看板前に並び、バスを待った。
しばらくして市街からのバスがやってきた。(1路線のため)乗車ドアがあいても、乗ってこない筆者が不思議に見えたのだろう。一度閉めたドアを開けて、運転手が座席の方から話しかけてきた。
「どこへ行かれるんですか?」(運転手)
「桜町ターミナルです。このバスはそちら方面ですか?」(筆者)
「お姉さん、それなら逆側に立ってないと!」(運転手)
(逆側!?・・・どこだ!?・・・)(筆者)
ちなみに唯一の看板がある場所の向かい側は、真横に小川があり歩道も狭い。どこに立てばいいのか分からなかったが、いったん道路を挟んで向かい側に渡った。バスを待っている人だとわかるように看板の真向かいに。なんなら1時間に1回のバスを逃すまいと、手を振るなり、最悪声を出すなりしようとバス到着時のシミュレーションまでした。

写真の右端が看板のない待機場所。写真だと少し広くみえるが実際にはだいぶ狭い(笑)
すると少し経ってターミナル行きのバスが目の前で停車。筆者の心配をよそに、しっかり拾ってくれた。
ターミナルまで向かいながら気づいたのだが、実は今回乗った地元のバス、ある程度街へ近づかないと、看板は往復路のどちらか一つにしかなかった。

1時間に1回のバス車内は貸し切り状態だった
ふと思った。そんなことは地元の人たちからすれば周知の事実だ。あの時、運転手は無視することもできたのに声掛けしてくれた。そう考えると温かい人柄に心までも温かくなった。
非専従で同胞たちの拠点を守る総聯本部委員長や、大阪から仕事できてここに暮らす朝青員たち、福岡や鹿児島の朝青イルクンたち、ロアッソ熊本のコーチとして働く大学時代の先輩など、取材対象以外でも同胞たちと会う機会が少なくなかった熊本取材。皆が口を合わせて「熊本は住み心地がいい」と言っていたのだが、街の雰囲気もさることながら、人がいい。かれらと同じくその良さをしっかり体感した2日間だった。

熊本城の天守閣に上がるまでに城の歴史が展示されている。城内は撮影可能。(「朝鮮出兵での城づくり」のブース)

「朝鮮出兵での城づくり」のブースにある侵略図。当時の侵略のようすが図も相まってリアルに伝わってくる。
(賢)