終活=道しるべをつくること
広告
最新号では「エンディング事情2025」と題した特集を組み、アフターコロナを中心に、在日同胞の葬儀やお墓のあり方について取り上げた。
私自身、喪主またはそれに準ずる立場で葬儀をあげた経験がないため、とても学びの多い企画だった。今回取り上げられなかったが、私は「終活」(人生の最期を迎える準備)について葬儀業者から話を聞くことができた。
神奈川で20年以上(150件ほど)同胞の葬儀を担当してきた冨吉昭二さん(50、合同会社ここねくと)は、終活ライフケアプランナーの資格を有している。冨吉さんは親が存命している40代~60代くらいを対象に、親と相続について話すきっかけづくりをしているという。
冨吉さんは「自分のエンド(終わり)が決まると、どう生きていくのかを逆算できる。自分が生き生きと生きるための道標を作ることが終活の役割ではないか」と話してくれた。「終活」について漠然とネガティブな印象を抱いていた私の目を開いてくれた。

イラストはフリー素材です
また、人はいつ何が起きるかわからない。例えば、私はいくつかのストリーミングサービスの有料会員であるが、契約者の私が死んでもサービスが自動的に解約されることはない。独立行政法人国民生活センターでは、「デジタル終活」として、スマホのパスワードを書いた紙を保管しておく、契約中のサービスのID・パスワードに整理しておく、エンディングノートを活用することなどを呼びかけている。
最近とある新聞記事で、葬儀社のアンケート結果を基に20代で終活を始める人の割合が増えていることが紹介されていた。ほとんどの人がスマホを持つ現代社会を生きる私たちにとって、身の回りの整理をすることの大切さを実感した。
今回、「トンポの最新葬儀事情」をテーマに行ったイオ読者アンケートでは、終活の実践例も聞いた。以下、寄せられた声をいくつか紹介する。(哲)
「親の契約関係(スマートフォンなど)を徐々に子名義の物に取り込む」(50代)
「印鑑、通帳などの重要な書類や財産管理に必要なものの場所をひとまとめにして、夫と同じ場所に置いている」(30代)
「公正証書遺言を書こうと思っている」(20代)
「相続について問い合わせている」(40代)
「地域包括支援センターで配布している〝私のメッセージ〟という冊子を利用して、いざとなったときに家族が困らないようにACP(アドバンス・ケア・プランニング)シートをまとめている」(40代)
「もしもの時のために、エンディングノートを作成し始めた。パスワードや暗証番号などを記入して家族に保管場所も共有している」(30代)