おおらかな島
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東京都八丈島。
東京であって、東京とは思えないゆっくりと時間が流れる、素敵な島。
その昔は流人の島だった。
羽田から1時間もかからないフライトで着いてしまうその島には、亜熱帯特有のスコールのような雨が降っていた。
そんな島での話。
とある島の人と酒席をともにした。
あしたばのてんぷら、くさや、づけ寿司など、島の料理を堪能し、島酒(焼酎)をあおる。
島のあれこれを聞きながら、また島酒を傾ける。
そんなおいしくも楽しい席も終わり、クライマックスシリーズの楽天の勝利にも酔いしれながら、千鳥足で夜道を歩いていると、私たち一行の横にパトカーが一台止まった。
ただたんに赤信号で停車しただけなのだが、その島の人が、「誰かな」と言いながら、パトカーに近づく。
何をするのかと思っていたら、トントンとたたいて窓を開けてもらい、一言。
「家まで乗っけてくれ」。
そりゃ無理だろうと思ったら、パトカーはすんなりとドアを開けて当たり前のようにその人を乗せ、走り去った。
パトカーがタクシー代わりなんて…。
おおらかな島である。
写真は島で出会った猫。私が宿泊した民宿の前にふらりと現れ、レンズを向けるとこんな素敵な笑顔で応えてくれた。(茂)