鄭大世のすごさ
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朝鮮を代表するサッカー解説者であるリ・ドンギュさんに昨年夏、平壌でインタビューを申し込んだ。2010年ワールドカップ南アフリカ大会・アジア最終予選が開始される直前のことだ。
あれやこれやと朝鮮サッカーについて話を聞きながら、ふとミーハーな気持ちを抑えきれなくなった。インタビュー取材を終えて、録音機を切った後に、おそるおそる尋ねてみた。
「取材とは別の話なのですが、一つ質問してもよろしいでしょうか?」(記者)
「どうぞ」(リさん)
「これまで金鍾成さんをはじめ、何人もの在日同胞が朝鮮代表に召集されてきました。そのなかで、リさんはどなたが一番うまかったと思いますか?」(記者)
「ポジションやタイプが違うから一概には言えないが、鄭大世選手じゃないかな。一人で突破も図れてゴールも狙えるエースストライカーは、朝鮮サッカーの歴史の中でもそうは見当たらない」(リさん)
リさんはインタビュー中でも鄭選手の良さついて口にしていたが、まさか往年の名選手たちを押しのけて、彼を指すとは思っていなかったので、正直驚いた。
現在朝鮮は、全8戦のうち4戦を終えて、2勝1分1敗の勝ち点7でグループ2位につけている。このまま2位以内になれば、40年前に踏んだ世界の舞台に再び立つことができる(3位の場合は、グループ間、大陸間プレーオフに勝たなければならない)。
W杯出場経験がある中東の雄、イランやサウジアラビアがそう簡単に道を譲ってくれるとも思わないが、否が応でも高まる期待を抑えられない。
来週はもう一人の朝鮮代表、安英学選手のこぼれ話をお届けします。(茂)