【特集】コミュニティ、何を求める?
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共通の思いやニーズ、目的、価値観、カルチャーなどをベースにした、人と人とのつながりを意味する「コミュニティ」。大きくは民族団体を基盤としたものから、地域の市民会館や地元の卒業生のつながり、サークル、SNSコミュニティまで、現代を生きる同胞たちが拠りどころとするそれは多種多様だ。本特集では、私たちをとりまくさまざまなコミュニティを紹介し、在日同胞の生活のありように迫ります。
新たな共同性へ 同胞コミュニティの役割・課題・展望
筆者:李洪章●神戸学院大学准教授
個人化の波にさらされ
コミュニティとは、一言でいえば人間の共同生活の場を指す概念である。社会学はコミュニティを「共同性」と「地域性」というふたつの要素をもって定義してきた。「共同性」は共同生活を営む人どうしのつながりのあり方を、「地域性」は共同生活の空間的範囲を指す・・・
個を埋没させることなく、つながり合う
とはいえ、コミュニティがその役目を完全に終えたとも思えない。たとえばコロナ禍において、人々が他者とのつながりを渇望したことをみても明らかなように、現代において共同性への希求が失われたわけでは決してない・・・
読者アンケート コミュニティを考える
コミュニティとつながって得たものとは何なのか。ポジティブな面、ネガティブな面とは。またコミュニティに何を求めるのか―。同胞を対象に実施したアンケートの回答から探りました。
まとめ:編集部
Q2
日常的に接する同胞コミュニティ(民族団体)はありますか?
ある92.3%
ない7.7%
Q.それはどのようなものですか?(複数選択)
総聯支部や分会、傘下団体や事業体、
またそれらが運営、主催するサークルなど 100%
民族学級に関わるさまざまなコミュニティ 4.2% ・・・
ルポ 総聯記念行事を訪ねて 求めるのは心、生活の豊かさ
「同胞社会は唯一無二」

総聯結成70周年記念「兵庫アンニョンフェスティバル2025」(5月25日)での一枚。尼崎朝鮮初中級学校の児童・生徒たちと関係者たち
総聯結成70周年記念「兵庫アンニョンフェスティバル2025」が5月25日、神戸朝鮮高級学校(神戸市垂水区)で行われ、総聯本部の金徹委員長と県商工会の李政史会長(ともに共同実行委員長)をはじめとする同胞や日本市民ら約3000人が集まった・・・

屋台を出店した同胞たち
この日、女性同盟支部などによる売店が立ち並び、来場者のお腹を満たした。女性同盟加印支部の朴育世委員長(54)は、積極的に行事に携わる理由は「チョソンサラム(朝鮮人)として生きていきたいから」だという・・・
〝ネットワークは宝〟

お祝いムードに包まれた場内を駆け回る参加者たち(写真は福岡)
福岡でも、総聯結成日となる5月25日に、結成70周年を祝う記念式典および祝賀宴(主催=総聯福岡県本部)が催された。福岡市内の施設で行われた行事には、同本部の李光鎬委員長をはじめとする県内の専従活動家たち、総聯と女性同盟支部の役員や顧問、分会長など同胞、来賓ら約240人が参加・・・
「つながりの形は変わっていい」

食卓を囲み話に花を咲かせる同胞たち(写真は愛知)
千葉市花見川区にある千葉朝鮮初中級学校では、総聯結成記念日の5月25日に同校児童・生徒、地域同胞らが参加する運動会と「ハンマウム祭典」が催され、297人が集った。県外から来た卒業生、日本人支援者らも加わって七輪焼肉をほおばりながら楽しいひとときを過ごした・・・
なぜ原点、原動力なのか
同じだからこそ見えた多様さ
金滉さん(28) ●京都大学大学院特定助教
2022年9月に司法試験に合格したが、弁護士ではなく研究者の道に進んだ。今年4月から京都大学大学院法学研究科に特定助教として勤務している。
神戸朝鮮高級学校1年の頃は「将来は教員になろう」と考えていたが、在学中に目標が変わった・・・
後輩が夢を描ける活躍を
李泰河さん(22)●J2・ロアッソ熊本所属 プロサッカー選手

ボールを蹴り始めたのは朝鮮学校初級部2年の頃。学校の休み時間に友人たちとボールを蹴ったり、年の離れた親戚など家族たちとも日頃からそうした機会があり、いつしかサッカーが好きになっていた・・・
わたしはここで 好きでつながった居場所
在日朝鮮人知るプラットフォームを
李愛玲さん(30)●NPO法人ラオン理事長
神奈川朝鮮中高級学校を経て大学卒業後は就職して働いていた李さん。朝鮮学校への「高校無償化」適用を目指して運動するもなかなか実を結ばない状況を前に、まずは日本の若者が在日朝鮮人について知るためのプラットフォームが必要だという考えに至った・・・
私の生きがい
石日分さん(94)●川崎市多文化交流施設「ふれあい館」利用者
1988年に民族差別をなくす闘いの結実として生まれた川崎市の多文化交流施設「ふれあい館」。十分な教育を受けられなかった1世同胞たちを対象に始まった識字学級、同胞高齢者サークル「トラヂの会」が運営されてきた拠点だ。
在日2世の石日分さん(94)は今から8年前にけがを負い仕事ができなくなった。そうして始めたのが「トラヂの会」の活動だった・・・
生涯現役、「同級生に勇気づけられ」
廉和善さん(76)●朝大理学部物理数学科13期
1967年入学、71年卒業。朝鮮大学校理学部物理数学科(当時)13期生は卒業して5~6年後から約3年に1回の割合で同級生の出身地を回りながら同窓会を開催している・・・
素のままの自分でいられる場
崔創喜さん(33)●東京第1初中中級部46期
毎年、大みそかの夜に集まって、年越しカウントダウン。東京朝鮮第1初中級学校の中級部46期生メンバー恒例の集まりの光景だ。毎回10人ほどが集まる。一年の終わりと新しい一年の始まりの時間をともに過ごす―。メンバーの仲のよさ、結束力の高さを物語るエピソードだ・・・
ゆくゆくは「大道民会」を
洪大輔さん(44)●道民会
「道民会」は北海道朝鮮初中高級学校卒業生を中心に、関東圏で北海道にゆかりのある人々の集まり。2022年5月に結成された。20代から40代までが集まる。洪大輔さん(44)は結成初期から会長をつとめる・・・
記事全文は本誌2025年7月号をご覧ください。
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