父の生まれ故郷は慶尚南道山清
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九月九日～十三日、国際ペンクラブ大会でスピーチをするために慶尚北道慶州に滞在し、十一日の夜、チマチョゴリ姿で立食パーティーに参加しました。会場で談笑したり飲み食いしているのは、皆、文学者（百十四ヵ国から集まった小説家、詩人、劇作家）だということでしたが、名刺を渡されて並んで写真を撮ることを繰り返しているうちに次第に顔が強張ってしまい、わたしはバルコニーの暗がりへと逃れ出ました。
隅っこの椅子に腰かけて、通訳の大学生（二十一歳のソンヘリンさん）から、学習塾のテストの結果を苦にして自殺した小学生の話や、幼女を誘拐して強姦して殺害した二十代の青年の話を聞いていました。韓国国内の事件は日本では報じられないので、どれも初めて聴く話ばかりでした。
リュウ・ミリ●作家
1968年生まれ。神奈川県出身。鎌倉市在住。1993年、「魚の祭」で第37回岸田戯曲賞受賞。1997年、「家族シネマ」で第116回芥川賞受賞。2008年10月、朝鮮民主主義人民共和国を訪問。近著に「自殺の国」がある。
